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由紀さおり『夜明けのスキャット』は、なぜかくも人を感動させたのか

8/10(土) 5:30配信

現代ビジネス

 一度聴いたら耳を離れないイントロ、そして透き通るように歌い上げられるスキャット。名曲ばかりの昭和歌謡界にあって、この曲は異質な魅力を持っていた。

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歌詞がないという衝撃

 山上 『夜明けのスキャット』が発売されたのは、'69年3月です。

 当時、駆け出しの作詞家だった僕の名前を、世間の皆さんに知ってもらえたありがたい曲ですが、制作中はとにかく苦労の連続でした。それでも、50年経ったいまでも聴かれる名曲になったのは、素晴らしいことだと思います。

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山上 路夫(やまがみ・みちお)
'36年、東京都生まれ。作詞家。赤い鳥『翼をください』、小柳ルミ子『瀬戸の花嫁』、野口五郎『私鉄沿線』など、昭和を代表する楽曲の作詞を担当
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 渋谷 由紀さおりさんのデビュー曲にして、累計150万枚を超えるヒット曲になりましたからね。僕は当時、この曲の作曲を担当していたいずみたくさんの事務所で、仕事を手伝っていました。その縁で、編曲を担当しました。

 泉 僕にとって『夜明けのスキャット』は、深夜ラジオのイメージが強いですね。僕は発売された1ヵ月後に中学に入学しましたが、夜更かしして聴いていた深夜のラジオから、『夜明けのスキャット』が流れていたのをよく覚えています。

 1番の歌詞に日本語が一切登場しない。「ルルル」「ラララ」と、音だけで歌われるスキャットの部分は、とてもインパクトがありました。

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渋谷 毅(しぶや・たけし)
'39年、東京都生まれ。ジャズピアニスト、作曲家、編曲家。坂本九『見上げてごらん夜の星を』の編曲や、由紀さおり『生きがい』の作曲などを担当
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 渋谷 僕も、編曲する前に原曲を聴いたときは、「なんだこりゃ」って思いましたよ。

 泉 当時は、スキャットという言葉自体、まだ知られていませんでしたからね。

 山上 もともと、あの曲は『夜のバラード』(TBSラジオ)というラジオ番組のジングル(番組の節目に挿入される短い音楽)用に作られていたものだったので、1番しかありませんでした。

 その時は「ルルル」というスキャット部分のみだったんですが、「あの曲の名前が知りたい」とリスナーからの問い合わせが殺到して、急遽レコード化することになったんですよ。

 渋谷 そういう経緯があったんですね。編曲しておきながら、知りませんでした。

 泉 『夜のバラード』で流れていたのは'68年。シングルがリリースされる前年から、曲の原形は出来上がっていたということですね。スキャット部分の「ルルル」「ラララ」「パパパ」という歌詞を付けたのは、由紀さんご自身なんだそうですね。

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泉 麻人(いずみ・あさと)
'56年、東京都生まれ。編集者、フリーライターを経て、コラムニスト。『僕の昭和歌謡曲史』をはじめ、昭和歌謡に関する著書や寄稿文など多数
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 山上 ええ。白みゆく夜をスキャットで表現したんだそうです。あっこちゃん(安田章子、後の由紀さおり)は当時、主にCMの世界で活躍していて、スキャットの名人として業界では知られた存在でした。

 僕はラジオをリスナーとして聴いていて、美しい曲だなと感じていたのですが、まさか、自分が後に続く歌詞を書くことになるとは思いませんでしたよ。

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最終更新:8/10(土) 5:30
現代ビジネス

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