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ホームレスがなかなか口に出せない家族事情

8/11(日) 5:50配信

東洋経済オンライン

ホームレス。いわゆる路上生活をしている人たちを指す言葉だ。貧富の格差が広がる先進国において、最貧困層と言ってもいい。厚生労働省の調査によると日本のホームレスは年々減少傾向にあるものの、2018年1月時点で4977人(うち女性は177人)もいる。そんなホームレスたちがなぜ路上生活をするようになったのか。その胸の内には何があるのか。ホームレスを長年取材してきた筆者がルポでその実態に迫る連載の第11回。

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■感情的な反応が多いのは、過去や家族の話

 ホームレスの人への取材は基本的に出たとこ勝負である。彼らが生活する場所に出向いて話しかける。もちろん、けんもほろろに断られることもあるが、いぶかしみながらも話をしてくれる人も多い。空き缶集めのこと、炊き出しのこと、など最近の出来事は聞きやすい。前職や若い時分の話など過去に話題が及ぶと、話したがらない人も多くなる。

 そしてやはりいちばん聞きづらいのは家族の話だ。家族の話題になると、急に黙ってしまったり、怒ってしまったりする人もいる。

 それでも話をしてくれる人もいたが、もう何年も会っていない人が多かった。

 野宿生活をしている人は高齢の人が多いので、すでに両親は亡くなっている場合が大半のはずだが、ずっと会っていないので、

 「亡くなったかどうかもわからない」

 という人も多かった。

 2012年頃に高田馬場の戸山公園の芝生でくつろいでいた男性(50代)にお話を伺った。

 「生まれは沖縄、まだアメリカに統治されてた頃だよね。父親は俺が生まれたときにはすでに60歳を超えてるだいぶ爺さんだったんだけど、これがすごく荒かった」

 父親は酒を飲むとすぐに大暴れした。そして時には包丁を振り回した。

 「『ぶち殺すぞ!!』って追いかけてくるんだよね。俺も殺されたくないから、走って逃げた。とにかく捕まらないように畑の中を逃げまくった」

 父親は3日に1度は暴れた。そのつど少年だった彼は全力で逃げたという。

 「いったん逃げたらその日は家には帰れないからね。畑とかで寝るしかない。もちろん寝心地は悪いけど、父親に捕まるよりはいいから。そうやって野宿するのに慣れたから、今こういう生活しててもどうってことはないね(笑)。

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最終更新:8/11(日) 10:25
東洋経済オンライン

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