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巨大オウムの新種化石を発見、「ヘラクレス」と命名、肉食の可能性も

8/12(月) 9:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

1600万年以上前、体高1mで体重7kg、NZ

 今から1600万年以上前、現在のニュージーランドにあたる地域で、1羽の大型の鳥が死に、湖の底に沈んでいった。その骨は、砂と灰青色の粘土の層の中で化石となり、数年前に発掘された。今回それが、これまで知られている中で最大のオウムの骨であることが判明した。

ギャラリー:ケア(ミヤマオウム)ほか、世界の美しい鳥たち 写真30点

 現在の地球上に生息する約350種のオウムの仲間のうち、体重が最も重いのは、同じくニュージーランド固有の飛べない鳥カカポ(和名:フクロウオウム)だ。だが今回判明した新種のオウムは、それをはるかに上回る大きさだった。化石化した2本の脚の骨から推定すると、この絶滅したオウムは体重が約7kg、体高が約1mあったとみられる。その予想外の大きさから、ギリシャ神話の勇者にちなんで「ヘラクレス・インエクスペクタトゥス(Heracles inexpectatus)」と名付けられた

 これだけの体高があれば「あなたのへそのゴマをつまめるくらいです」とオーストラリア、ニューサウスウェールズ大学の古生物学者マイケル・アーチャー氏は話す。氏らによる今回の発見は8月7日付けで学術誌『バイオロジー・レターズ』に発表された。

「(カカポは)非常に変わった鳥です。ニュージーランドにかつて仲間たちがたくさんいたとしたら驚きです」と米テネシー大学の生態学者アリソン・ボイヤー氏は話す。なお、彼女は今回の研究には参加していない。

見過ごされていた巨大な骨

 この鳥の化石は2008年にニュージーランドのセントベサンズで発掘された。セントベサンズは、かつて湖があった場所に位置し、昔は鉱業で栄えていた町である。発掘現場は中新世初期の化石層で、植物、ワニ、コウモリのほか、数十種の鳥の化石が見つかっている。

「セントベサンズの動物相からは6000点以上の鳥の骨が見つかっていますが、そのほとんどが非常に小さいものです」とオーストラリア、フリンダース大学の古生物学者トレバー・ワージー氏は言う。

 だから、ヘラクレスの大きな脛足根骨(けいそくこんこつ、骨付き鶏もも肉で手にもつところの骨)はひときわ目立った。発掘から10年間、この骨は、同じ現場から出土したワシのものと思われる骨と一緒に棚に置かれていた。ところがあるとき、1人の大学院生が、これが古代のワシの骨ではないことに気づいた。

「完全に予想外で、まったく新しいものでした」とワージー氏は言う。「これがオウムの骨であることを確信すると、今度は世界中の人々を納得させる必要がありました」

 ワージー氏のチームは、この骨をさまざまな博物館が所蔵する標本やオンラインの画像と比較して、鳥のグループを絞り込んでいった。その筆頭に上がったのが、オウム科とインコ科からなるオウム目だった。

「今回示された証拠をみると、彼らの結論には説得力があります」とボイヤー氏は言う。「オウムの形態はかなり特徴的だからです」

 研究チームは、脚の骨の太さに基づいて鳥の大きさを推定した。ただし彼らの計算では、オウムが他の科の鳥類と比べて特殊な姿勢をとることが考慮されていない、と米スミソニアン国立自然史博物館の鳥類部門の学芸員ヘレン・ジェームズ氏は指摘する。とはいえ、たとえ完璧な見積もりではなくても、この鳥がオウムにしては非常に大きいのは確かだと言う。

 ニュージーランド自然保全局の保全生物学者で、カカポの保護活動をしているアンドリュー・ディグビー氏は、今回の研究を知って「本当に驚きました」と言う。カカポは1900年代初頭から絶滅の危機に瀕している。

「初めてカカポを見た人のほとんどが、『うわあ、思っていたよりずっと大きいんですね』と言います。カカポは攻撃的になることがあるので、その2倍の大きさの鳥となると、ちょっと驚きますね。かなり怖い鳥だったのではないでしょうか」とディグビー氏は話す。

「オウムがどれほど賢いか考えると、たしかに怖いですね」と論文の共著者であるニューサウスウェールズ大学の古生物学者スザンヌ・ハンド氏も言う。

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