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巨大オウムの新種化石を発見、「ヘラクレス」と命名、肉食の可能性も

8/12(月) 9:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

空を飛べず、肉も食べていた?

 ヘラクレスの骨は2本の脛足根骨しか見つかっていないため、その行動については多くが謎のままだ。骨の重さや骨端に見られる小さな手がかりからは、この巨大なオウムが木に登ったり空を飛んだりできなかったことが示唆される。彼らはおそらく林床で生活していた。

 ヘラクレスは食べられる範囲の植物だけを食べて生きていた可能性があるとディグビー氏は言う。実際、人間がニュージーランドにやってきた直後に絶滅した飛べない巨鳥モアは草食だった。そして、化石のまわりの粘土層から見つかった花粉は、このオウムが、穏やかな亜熱帯の気候に暮らしていたことを物語っている。トロピカルフルーツをつける植物が60種以上ある環境だったため、食物の選択肢は多かったはずだとワージー氏は言う。

 ただし、これだけ大きい鳥が植物の葉と果実から十分なカロリーをとるのは難しい。栄養不足を補う食物も必要だったかもしれない、とハンド氏は指摘する。オウムが肉を食べることは一般的ではないものの、時々あることが知られている。

 マオリ語で「ケア」と呼ばれるニュージーランド固有のミヤマオウムは、ヒツジの背中を爪でひっかいて脂肪をとることを覚えてしまった。また、海鳥のひなを巣穴から引きずり出すことさえするという。「ひなは小さなラードの塊のようなものです」とワージー氏は言う。

 肉食によって得られる栄養分は、オウムたちがニュージーランドの寒い冬を生き抜くのに役立つ。肉食の大型哺乳類がいない先史時代のニュージーランドでは、強力なヘラクレスは現代のミヤマオウムと同様、食物が競合する相手のいない地位を得ていた可能性がある。

「ヘラクレスはゴジラのようなオウムでした。ほかの種類のオウムも食べたかもしれない、恐ろしい鳥だったのではないでしょうか」とアーチャー氏は推測する。

鳥が巨大化する島、ニュージーランド

 今後の発掘調査でヘラクレスのクチバシが発見されたら、その形からより多くの手がかりが得られる可能性がある。しかしアーチャー氏も認めるように、現生のオウムは雑食性のものと草食性のものとで、クチバシにほとんど違いがない。そのため古生物学者は、ほかの証拠にも目を光らせておかなければならない。

「何を食べていたかに関する情報は、鳥の化石そのものではなく、化石層のほかの場所から得られるのかもしれません」とアーチャー氏は言う。

 古生物学者が確実に言えるのは、ヘラクレスの存在がニュージーランドの鳥の歴史の中にきれいに納まるということである。ニュージーランドは長らく他の大陸から隔絶しているため、コウモリ以外の哺乳類が到達できなかった。一方で鳥たちはしっかりした足場を築き、多様化して、さまざまな大きさと特徴を持つようになった。

「私たち自身、あれほど大きなオウムを発見するとは思っていませんでした」と論文共著者であるニュージーランド、カンタベリー博物館の上級学芸員ポール・スコフィールド氏は言う。 しかし、ニュージーランドではモア、クイナ、ワシなどが巨大化した歴史があることを考えると、この発見は完全に予想外というわけではない。

「だからこそ、この巨大なオウムの発見は面白いのです。それは予測可能であると同時に、驚くべきことでした」と米ニューメキシコ大学南西部生物学博物館のクリストファー・ウィット所長は話す。

「古生物学は偶然の発見にかかっています」とワージー氏は言う。「何が見つかるか全然わからないところが面白いのです」

文=Jenny Howard/訳=三枝小夜子

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