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住宅ローンが残っている不動産を子へ…「負担付贈与」の注意点

8/12(月) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

通常の財産の贈与以外に、受贈者が財産を貰うかわりに、一定の給付を負担する「負担付贈与」と呼ばれるものがあります。贈与者側にも税金がかかるデメリットがあるため、これを行う際には充分注意が必要です。本記事では、相続・事業承継を専門とする税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士、天満亮税理士が、不動産の「負担付贈与」の内容と注意点を解説します。

親から子へ「住宅ローン」の残額返済を引き継ぐ⁉

みなさんは『負担付贈与』という言葉をご存知でしょうか。『通常の贈与』は、単純に、あげる人から無条件で財産をもらえる行為であるのに対して、『負担付贈与』は、もらう人が一定の債務負担を条件とする贈与となります。

イメージはつきますか? 分かりやすくするために、例を挙げてみます。

例えば、親が住宅ローンで建てた家を、ローンの返済途中で子供に贈与する場合に、この住宅ローンもセットで贈与するというケースです。今後の残額返済は子供が負担していくことになります。

この贈与を行うことで、子供は住宅の所有者&ローンの返済義務者になり、親は返済義務を免れることになります。

このように、もらう側の人が一部負担を引き継ぐ贈与であり、あげる側の人は贈与後に従来負っていた債務を免れる結果になるという特殊な贈与となります。

不動産の負担付贈与は「時価」で評価される

何気なく実行してしまいそうな負担付贈与ですが、実は、「もらった側」にとっては通常の贈与よりも大きな贈与税がかかってしまい、また「あげる側」にとっても思ってもいなかった所得税がかかるケースもあるということで、税金上はダブルパンチの負担になる可能性があるので要注意です。

受贈者への課税(もらった人)

もらった人には贈与税が発生する可能性があります。具体的には、贈与された財産から引き継いだ負担額(債務額)を差し引いた金額に対して贈与税がかかります。住宅のローン負担の場合には、贈与された住宅の評価額からローンの残債額を引いた金額が贈与されたとみなされ、その金額に対して贈与税が計算されます。

ここでのポイントは、負担付贈与において、贈与財産が不動産の場合は、「時価」で評価しなければいけないということです。

通常、不動産を「負担付でない形」で贈与した場合の評価は「相続税評価」で行います。「時価」は「相続税評価」の1.25倍~2倍になることが多いため、負担付贈与にすると、贈与財産が高く評価されることになります。結果として、多額の贈与税の支払い義務が生じていたという事態になってしまいます。

贈与者への課税(あげた人)

あげた人には所得税・住民税が発生する可能性があります。

こちらは贈与した財産を、ローンの残債額と同額で売却したとみなされます。ローンをもう返済しなくていいという(債務が免除されるという)経済的利益からその儲けに対して課税されることになります。

ですので、「ローンの残債額>住宅の取得費」となる場合には、その差額を売却の利益とみなして、所得税が課税されます。

さて、このように「もらった側」にも「あげた側」にも大きく課税されてしまう可能性のある「負担付き贈与」ですが、実はこの課税を免れる方法もあるのです。

敷金がある賃貸アパート(建物)の贈与で、預かっていた敷金に相当する現金も同時に受贈者に贈与する場合は、国税庁より「負担付贈与に該当せず」という見解が出されています。この場合には、贈与財産の評価は「時価」でなく「相続税評価」でよいとされ、あげた側の所得税・住民税もかからないとされています。

もし、この債務相当額の現金も同時に贈与することが可能であれば、選択肢としてご検討ください。

ここまでの説明でお気づきかもしれませんが、「負担付贈与」は節税対策としては有効ではありません。気づかずに負担付贈与を実行していたなんていう事態に陥らないように気を付けましょう。

意図的に実行する場合には、事前にどれくらい税金が発生するかをしっかり把握しておきましょう。また、負担付贈与を行うためには通常の贈与契約書と異なる書式となりますので、ご注意ください。

竹下 祐史

税理士法人ブライト相続 税理士

天満 亮

税理士法人ブライト相続 税理士

竹下 祐史,天満 亮

最終更新:8/12(月) 10:00
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