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細野晴臣「CHOO-CHOOガタゴト」はおっちゃんのリズム前哨戦? 鳥居真道が徹底分析

8/12(月) 20:00配信

Rolling Stone Japan

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 - パンツの中の蟻を探して」。クルアンビン、ジェイムス・ブラウンの楽曲考察に続き、第3回となる今回は本連載タイトルの本ネタを生み出した細野晴臣の楽曲を徹底考察します。

トリプルファイヤーのギタリスト・鳥居真道

3回目の今回は当連載のタイトル「モヤモヤリズム考」の元ネタとなった「下半身モヤモヤ」というキーワードの生みの親、細野晴臣の楽曲を取り上げたいと思います。昨年シアトルのレーベルLight In The Atticからリイシューされ、今年『Hochono House』というタイトルで本人よってリメイクされたことも記憶に新しいあの名盤、『Hosono House』から「CHOO-CHOOガタゴト」を取り上げます。そういえば、細野にリスペクトを送るマック・デマルコの新作『Here Come The Cowboy』に「Choo Choo」なんていうスワンプっぽい曲が入っていましたね。もうお聴きになりました?

『Hosono House』は曲も良いしキャラメル・ママの演奏もとっても素晴らしい。あまりこういう言い方をすると良くないのかもしれませんが、どこを取っても「音楽的」と言ってしまいたくなる作品です。さて、今回取り上げる「CHOO-CHOOガタゴト」ですが、特に林立夫の端正かつ躍動感のあるドラムがなんともクールではありませんか。一寸ハネてるバスドラム。あれはいいね。

「一寸ハネてる」とはどういう状態なのか?

ところで、「一寸ハネてる」とはどういう状態なのか。まず100%ハネてるリズムから見ていきましょう。ハネたリズムというとシャッフルやスイングなどがありますが、ここではシャッフルを扱います。シャッフルというのは「タッカタッカタッカタッカ」というあのリズムです。非常にポピュラーなリズムで、例えば、セブンイレブンでよく耳にする「Daydream Believer」で使われています。

シャッフルというものは「3連の中抜き」と解説されることが多いです。これをピザを使って説明していきます。1つの小節をピザに見立てて、まず4等分します。1切れのピザが1拍にあたります。続いて4切れのピザをさらに3等分します。1拍につきピザが3切れある状態です。これを3連とします。そして、1拍ごとに真ん中の一切れを取り除きます。12等分したピザから4切れ抜き取ったので全部で8切れになりました。これがいわゆる「3連の中抜き」と呼ばれるものです。取り除いたピザが占めていたスペースが「タッカタッカ」の「ッ」にあたります。早い話が休符のことです。

一方、ハネていない状態を先程の例を用いて説明すると、ピザを8等分した状態になります。しかし、ここでは以下のように考えてみます。「タッカ」の「ッ」が消滅し、その分「タ」と「カ」が大きくなった状態であると。次の様子を想像してみてください。3人がけのソファーの両端に2人の人間が1人分のスペースを空けて座っています。時を経るとともに彼らはどんどん太っていき、遂には二人の体が密着するようになってしまいました。つまり「タッカタッカタッカタッカ」から休符の「ッ」が消えて「タカタカタカタカ」に変化したわけです。このリズムをイーブンだったりストレートなんて呼んだりします。

そして本題である「一寸ハネてる」とはどういうものなのか。これは「タッカ」の「ッ」が占めるスペースを小さくなりイーブンに近いた状態のことを言います。先述のソファーの例で云えば、二人の間にスペースは残ってはいるものの、もう一人座れるほどのスペースは残っていない状態となります。「ッ」の大きさには幅があるので、これをコントロールすることでハネ具合に濃淡をつけることができます。

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最終更新:8/12(月) 20:00
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