ここから本文です

錦織圭の最終セットは「世界一」。BIG4級の精神力を示す数字と歴史。【2019年上半期 テニス部門1位】

8/12(月) 20:01配信

Number Web

 地面に両膝を落とし、両手を前につき、しばらく動けなかった。

 「負けるタイミングが2、3回あった。そこから挽回して、気持ちを切らさず最後までプレーできたのがうれしかった」

【秘蔵写真】めっちゃ若々しい! 錦織、フェデラー、修造や美しき女子テニス選手たち。

 全豪オープンテニス、2回戦。211cmというツアー1の長身を持つイボ・カルロビッチとの3時間48分の戦いは、我慢とか気力とかそんな言葉では表しきれないほどの神経戦だった。

 2セットを先取してから2セットを奪い返される展開。息詰まるファイナルセットは両者のサービスキープが続く。

 相手はテニス史上1、2を争うビッグサーバーだ。チャンスであれピンチであれ、ほかの試合とはまったく重さが違う。このチャンスを逃せば二度と訪れないかもしれない。このピンチをしのげなければ負けたも同然……。

 「博打のような試合」と錦織はたとえたが、最終的に59本に達したサービスエースを容赦なく浴びながら、そして高まり続けるプレッシャーにさらされながら、勝負強さが究極に試される10ポイント・マッチタイブレークに突入した……。

“プレッシャーに強い”錦織の証拠。

 ATPの公式サイトに、〈プレッシャーのかかる場面での強さ〉を数字で表したランキングがある。

 ブレークポイントでの成功確率、ブレークポイントのセーブ率、タイブレークの勝率、ファイナルセットでの勝率という項目で弾き出した数字によるものだ。

 全ての項目を総合したランキングで錦織は歴代4位。

 上の3人はノバク・ジョコビッチ、ピート・サンプラス、ラファエル・ナダルで、すぐ下にいるのがロジャー・フェデラーとアンディ・マレーである。昨年に限ればトップ。

 〈精神力〉や〈勝負強さ〉を数字で表したともいえるこのデータで、錦織はグランドスラム・タイトルを複数持つカリスマ、レジェンドたちと互角かそれ以上のものを放っているのだ。

奇跡のような再逆転劇の末の勝利。

 カルロビッチ戦でも2つのタイブレーク、そしてファイナルセットを制し、このデータを裏付けた。

 ブレークポイントをセーブしたのは5回中3回と決して高い数字ではないが、数字よりも印象で勝るシーンだった。

 最終セット、4オールのサービスゲームで直面した0-40の大ピンチ。そこまでに26ゲームあったカルロビッチのサービスゲームを1度しかブレークできなかったことを考えれば、トリプル・マッチポイントに等しい場面だった。しかしここから3本連続でファーストサーブを入れ、ラリーを制してデュースに戻すと、さらに2ポイントを重ねてキープに成功。ここをしのいだのが最大の山場だった。

 マッチタイブレークでも4-1のリードを覆されたが、6-7から2本連続のミニブレークという奇跡のような再逆転で勝利の糸をたぐり寄せた。

1/3ページ

最終更新:8/12(月) 20:11
Number Web

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sports Graphic Number

文藝春秋

984号
8月8日発売

特別定価620円(税込)

<夏の奇跡の物語>甲子園旋風録。

【スペシャルインタビュー】 吉田輝星「金農旋風のど真ん中で」
【密着ドキュメント】 佐々木朗希「2つの大船渡旋風」

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事