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お嬢様みたいな服 大宮エリーのなんでコレ買ったぁ?!

8/13(火) 10:12配信

NIKKEI STYLE

作家、演出家、画家、脚本家などの肩書を持つ大宮エリーさんは、自称「衝動買いの女王」。二度と着ない服や絶対に使わない小物たち……つい買ってしまったトホホなあれこれは数知れません。大宮さんが日経MJに連載したコラムをもとに出版された「なんでコレ買ったぁ?!」(日本経済新聞出版社)から、ファッションにまつわる衝動買いのエピソードをピックアップしました。「あーそれ、あるある」とニヤッとしたり、「意味わからない」と突っ込みを入れたりしながら、ゆる~く読んでみてください。



絶対着ない服がある。お嬢様みたいなやつ。よく女子アナの方が着ているという有名なブランドらしい。「エリーさん、そういうの着たらモテるんじゃないですか?」と言われたのだ。「どこに売ってるの?」「デパートに大抵ありますよ。やっぱ、コンサバで清楚(せいそ)なのがいいんですよ」。さっそく仕事帰りに寄ってみた。

◇  ◇  ◇



ほほう、確かに女子アナの方が着ていそう。試着の時間がなく、適当に1着買った。似合うのだろうか。女子アナ服のなかでも、これなら似合わなくないかというのを買ったつもり。白いワンピース。ピンクの花柄。何かパーティーのときなどにいいかもしれない。

それにしても、うーむ、本当にこういうの、男性は好きなのかな。着たことのないタイプの服だったので面白いから購入した。

が、しかし!今現在に至り、全く着ていない。理由は、そもそも自分のキャラではないこと。それからパーティーはどうした、ということであるが、パーティーの場合の自分なりの華やかというのと、女子アナ服のそれとは違うのだ、よく考えてみれば。おかしいもん、私がこれ着て、パーティーに行ったら。なぜ気づかなかったのだろう。私がパーティーで着ていく服となると、シックな黒に大きめのワンピースか、デザイン的にアシンメトリーな面白いものなどが多い。じゃあ、デートはどうか。デートで着ればいいじゃないか、モテるには。

ま、これもよく考えればわかるんだけれど、いや、この件に関しては、ちょっと考えればわかったはずだ。私の日常に、デートなんか、ない。最近そんなもんない。全然ない。どうして現実を見なかったんだろうか。ここ数年、デート、とか、そのようなこう、出会いの場に行くぞ!みたいなものはないんだから、それなのに、どうしてこの服を、、、。仮に、あったとしてもだ。やっぱり自分はああいうお嬢様的なものは着れない。。。なんか自分ぽくなくて恥ずかしいもの。着てみたいなという願望と、実際着ていけるかどうかというのは、天と地の開きがあることを思い知らされて愕然(がくぜん)。

いちど、仲の良い男友達ならいいかと思って、彼らの飲み会にそれを着て行ったことがある。反応はこうだ。

「どしたの?」「なにそれ」「似合ってないけど」

◇  ◇  ◇

惨憺(さんたん)たるものであった。で、タンスにずっといらっしゃるその服。ふと思った。私のことを知っている人は、私の容姿に加えて、がさつなキャラクターを知っているからその服を似合わないというのだ。色眼鏡が最大の敵。全く私を知らない、はじめましての会に着ていけばいいんだ!合コン、行ってみたいな。41歳、女子アナ服で!

大宮エリー1975年大阪府生まれ。作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクター。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。著書に『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ』(新潮文庫)、『なんでコレ買ったぁ?!』(日本経済新聞出版社)など。 近年は画家としても活動。

最終更新:8/13(火) 12:15
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