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“大きな秘密”を宿した木星の衛星「エウロパ」の探査は実現するか? 夢の計画は、いまも細々と進行中

8/13(火) 19:14配信

WIRED.jp

木星の衛星「エウロパ」は太陽系の“隠れ里”のような存在だと言っていい。この牧歌的な衛星の表面を覆っている氷の下には、ひょっとすると何らかの生命体が存在しているかもしれない。だが、そこに宇宙探査機を送り込む計画はどんどん後退して、この惑星の霧のなかに見えなくなってしまいそうなほどだ。

【画像ギャラリー】謎多き木星の素顔

とはいえ、この太陽系の片隅にとにかく何でもいいから何かを送り込もうという夢は、まったく消えてなくなったというわけではない。

米航空宇宙局(NASA)は、木星を周回してエウロパに何度も接近する探査機「エウロパ・クリッパー」を当初は2022年に打ち上げる予定だった。エウロパに接近して、その地表から噴き出しているとみられる間欠泉に含まれる氷や水、岩の粒子を分析して、生命の存在を示す成分があるか調べる計画だ。

だが、予算20億ドル(約2,130憶円)のこの野心的なプロジェクトは頓挫している。19年に入り、打ち上げの予定は22年から23年に延期され、探査機を打ち上げるロケットもまだできていない。

NASAの新型ロケットであるスペース・ローンチ・システム(SLS)の開発は予定より遅れ、米会計検査院(GAO)によると予算もオーバーしている。一方で、スペースXの「Falcon Heavy」のような商用ロケットを活用すれば、地球からエウロパ付近までの旅はSLSを利用した場合の2倍に当たる約3年もかかってしまう。

いずれのロケットについても試験を続けているところだが、NASAはエウロパ・クリッパーの建造に19年中に着手したい考えだ。しかし、19年5月に発表されたNASA監察総監の報告書では、NASAがエウロパ・クリッパーによる探査ミッション開始までにかかる時間も費用も実際より軽く見積もりすぎていたことが認められている。

また、エウロパ・クリッパーの2年後に打ち上げが予定されていた探査機「エウロパ・ランダー」によって、何らかの観測機器を硬い地表に着陸させる後継ミッションは、さらに不確実なものになってきた。この報告書では、現在の進捗状況から考えると、エウロパ・ランダーの打ち上げについては30年までに議論することさえままならないと指摘されている。

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最終更新:8/13(火) 19:14
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