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文在寅大統領をじわじわ追いつめる米国の秘策

8/13(火) 6:00配信

JBpress

■ 日韓の確執に乗じた中ロ爆撃機の領空侵犯

 エスカレートする日韓の対立に米国がいよいよ動き出した。

 ドナルド・トランプ大統領は8月9日、「日韓関係はうまくやる必要がある」とツイートした。 

 同大統領は同日、記者団にさらにこうコメントしている。

 「日本と韓国派米国の同盟国だ。ケンカばかりしているが、仲良くつき合っていかなくてはならない。うまくやる必要がある。(日韓関係の悪化で)米国はより困難な立場に置かれている」

 米国が何らかの形で日韓首脳が同じテーブルにつけるような場を提供でもしようというのだろうか。

 同盟国同士の確執には口を出さない。当事者同士で解決せよ、というのが基本姿勢だ。特に日韓対立の根は深い。かっての日韓併合にまで遡る戦後処理問題が根底にある。

 これまでに何度も歴代政権同士で解決したはずの問題が政権が変わるたびに浮上する。

 日韓の対立が続いても、米国にとっては「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」でいいだろう。だが、火の粉が米国の安全保障分野に飛んでくるとなるとそうも言っていられなくなる。

 米国が動き出した発端は、中ロが作り出した。

 中国とロシアの爆撃機4機が合同パトロールと称して7月23日、日本海から韓国防空識別圏(KADIZ)や日本空域への侵犯だ。

 これに対して韓国軍戦闘機が300発以上の警告射撃、一つ間違えば戦争になりかねない。

 まず、東アジアの専門家、マイケル・オースリン博士が、7月31日号の外交専門誌『フォーリン・ポリシー』でこの事件を取り上げた。

 (https://foreignpolicy.com/2019/07/31/the-asian-century-is-over/)

 同博士はスタンフォード大学フーバー研究所の研究員だ。日本でもお馴染みの中道保守派のアジア外政学の研究者だ。

 「これは前例のない事件だ。インド太平洋地域の平和を脅かす危機が存在することを改めて思い起こさせる事例の一つだ」

「さらにキショア・マブバニ*1
、やマーチン・ジャクス*2
らが主張していた『アジアの世紀』は意外と早く終焉する可能性を示唆する事件だ」 *1=マブバニ氏はシンガポールのリー・クワンユー公共政策大学院院長。
*2=ジャクス氏は英ジャーナリスト。

 言い換えると、同博士は、米国防総省が今年6月1日に公表した『インド太平洋戦略報告書』(IPSR)が打ち出している米戦略構想は早くも崩れかねない状況になってきたと指摘しているのだ。

 同報告書は、米国は日米韓三角同盟とインド、オーストラリアとの同盟・連携を強化することで中国を牽制することが米戦略だと明言している。

 日韓の対立が長引けば、この米戦略も絵に描いた餅だ、というわけだ。

 オースリン博士のような主張は、トランプ政権の軍事外交政策を「現場」で遂行する軍や国務省の最高責任者たちからも出始めた。

 東アジア太平洋地域で中ロと対峙するチャールズ・ブラウン米太平洋空軍司令官は、7月30日、ワシントンで行った講演で強い懸念を示した。

 「ロシア軍と中国軍が協力し、連携して活動を始めていることを懸念している。日米韓3か国の関係にくさびを打ち込む狙いがある。米国と同盟国にとっては一段と厳しい環境になってきた」

 国務省からも同博士に同調する声が出始めた。

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最終更新:8/13(火) 9:50
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