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キリンと資本提携を決めたファンケル創業者、池森賢二会長の心中

8/13(火) 7:00配信

日経ビジネス

 サプリメント市場で2割のトップシェアを握るファンケルと健康食品事業を手掛けるキリンホールディングス(HD)が8月6日、資本業務提携契約を締結したと発表した。キリンHDは9月6日に1293億円を出資して、ファンケルの創業者である池森賢二会長執行役員ファウンダーら創業家が保有する、議決権ベースで33.0%の株式を取得する。

 ファンケルはキリンHDの持ち分法適用会社としてグループ入りするが、キリンHDが取得するのはファンケルの発行済み株式の3分の1未満であるため、株主総会の特別決議における単独拒否権は生じない。キリンHDは役員を送り込む意向だが、ファンケルは一定程度の独立性を保てる。

 池森氏は1980年にファンケルを創業。化粧品による肌のトラブルに悩む女性が多かったことから、世界初の無添加化粧品を商品化。さらに品質が不透明で高価な健康食品が出回っていたことから、94年に、科学的な裏付けのあるサプリメントを手ごろな価格で発売。サプリメントや無添加化粧品の市場を切り開き、ファンケルを一代で大手企業に育て上げた。

 ではなぜ、手塩にかけたファンケルの株式を手放す決断をしたのか。

 「私は今年、82歳になりました。日本人男性の平均寿命を超え、いつ死んでもおかしくはない。私が突然死んだら、ファンケルはどうなるんだろうと真剣に考えてきました。私がしっかり判断ができる元気なうちに、将来を託せる企業に譲った方が良いという結論に至りました」。提携発表の記者会見の冒頭、池森氏はそんな言葉で口火を切った。厚生労働省が7月30日に公表した簡易生命表によると、18年の日本人男性の平均寿命は過去最高の81.25歳で、1位の香港、2位のスイスに次ぐ世界3位。その年齢を超え、創業者が去った後の、社員や事業の行く末をこれまで以上に現実味を持って考えるようになったという。

 さらに池森氏は「当社は経営再建を果たし、利益を出せる体質になった。私の役割はここまでと考えた」と語る。03年に社長を退き会長に就任した池森氏は、05年には名誉会長となり、経営の第一線から離れた。しかしその後、サプリメント市場への参入企業が相次ぎ、競争が激化。ファンケルの業績はジリジリと悪化していった。これを見かねて、13年1月に名誉会長兼執行役員として経営の現場に復帰。同6月からはCEO(最高経営責任者)として商品開発やマーケティングの抜本的な見直しを指揮。業績を回復基調に戻すとともに、17年4月に島田和幸氏が社長執行役員CEOに就任し、トップのバトンを渡した。

 強いブランドと開発力、直営店舗や通信販売など売り上げの7割以上を占める自前の販路を持つファンケルと「血縁関係」を持ちたいと考える企業は多い。池森氏は、なぜキリンを選んだのか。

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最終更新:8/13(火) 7:00
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