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NHK子ども科学電話相談では言えない 恐竜学者が怒る「化石盗掘問題」

8/14(水) 8:00配信

デイリー新潮

 NHK子ども科学電話相談で大人気の“ダイナソー小林”こと北海道大学の小林快次教授。誰も調査したことのないフィールドへ足を運び、未知の恐竜化石を掘り出す学者だ。「むかわ竜」発掘の陣頭指揮をとったことでも知られる小林さんは、発掘地でよく化石を見つけることから、「ファルコン・アイ(ハヤブサの眼)」の異名も持つ。そんな小林さんの“恐竜まみれの日常”を夏休みスペシャルとして4回にわたりお届けする。第1回は「化石盗掘問題」。(以下、『恐竜まみれ―発掘現場は今日も命がけ―』(小林快次・著)より抜粋)

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接着剤が落ちていれば必ず

「僕ら研究者は恐竜の骨を、赤ちゃんを扱うように、慎重に扱います。掘り出し、きれいにして研究していく。だがあいつらは現場でガンガン壊して、良いところだけ持って帰る。歯とか、爪をです。本当に金のためだけに、大事な恐竜を壊す。ほんとうにむかつきますよね」

 話しながら、語気が荒くなっていくのを感じていた。
 海外までカメラを持って単身やってきたディレクターはそれを逃さず撮影し、「むかつきますよね」は深夜に全国放送された(2017年11月、TBS系「クレイジージャーニー」)。
 あの時、私の目の前には中国製の接着剤が落ちていた。

 これが落ちていれば必ず化石が盗掘されたことを示す。彼らは出てきた化石に接着剤を塗りつけ、運ぶ過程で割れたり欠けたりしないように「保護」する。その扱いの粗雑さから、欲しいのはカネだけなのだと知れる。
 使用済み接着剤のすぐそばには、片手ではつかみ切れない、立派な脊椎がごろごろ転がっていた。乱暴に掘り出され、そして捨てられたものだ。

 これをやった彼らこそ恐竜化石の敵、盗掘者だ。盗掘なんて、大昔のこと、あるいは映画の出来事のように響くだろう。だがそれは違う。彼らの手は、じつは驚くほど私たちの身近に迫っている。そしてこの問題は、「恐竜を含む、化石とはいったい誰のものなのか」という古くてホットな議論にも密接に関わっている。

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最終更新:8/14(水) 8:55
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