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中村剛也の才能開花に繋がったアドバイスとは?/デーブ大久保コラム

8/15(木) 11:06配信

週刊ベースボールONLINE

 サンペイ(西武の中村剛也)が7月24日の楽天戦(楽天生命パーク)から4試合連続本塁打を含む計5本塁打を放ちましたね。通算400本塁打を放ってからもこの調子。本当にすごい男です。

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 2008年に私が打撃コーチをしていたときの話(前回)の続きです。08年は前ポイントで打っていこう、ということに決め、サンペイもその気持ちでいてくれました。もちろん彼には「もし、追い込まれたら昨年までの後ろポイントで打ってもいいから。でも、前ポイントができるようになったら本当に本塁打王は簡単に獲れる。獲れないような選手には言わないから」とアドバイスしました。打撃コーチ業はそこまで長くやるとは思っていませんでしたので、選手にゴマを擦っても仕方がありません。本当の気持ちを伝えることが大事だと思っていたので、サンペイにも素直な気持ちを伝えました。

 前ポイントの練習をしながら、もう一つ、ある取り組みをしました。それが内角打ちです。彼は内角打ちがめちゃくちゃヘタだったんです。そこで打撃練習のとき、前の打者が打ち終わるのを待っている間、バッティングケージの網の前10センチくらいのところに立ち、左手でバットを持ち網と体の間から抜く練習をやらせました。これも「遊び半分でいいから」というふうに言っていましたね。

 実は、シーズンが始まったころには、それも含めてさまざまな練習を課していましたので、その確認作業を「犬語」でやっていました。彼はあまり話は得意ではなかったので。「ワン(ケージの前でやった)?」と聞くと笑顔で「ワンワン!」と答える、みたいな感じで接していました。

 実際にこの年は、すでにホームランを量産し始めていましが、一死満塁では外野フライ、それ以外では空振りをしていいという指示を出していました。そして「とにかく投手に押し込まれないようにしよう」ということは常に言っていました。彼の打順は六番にしていました。当時の打順は私が任せられていましたので、オーダー表に最初に必ず書いたのは「六番・中村」でした。

 そして打撃の最後の仕上げになるある出来事があります。あるときからパタリと打てなくなりました。その原因は、スタンスが広かったからです。ある試合で凡退してベンチに帰ってきたときに、このタイミングで実行しようと思い、後ろのミラールームに連れていきました。

「足を上げて打つ打者は、スタンスが広いと、その日の体調によって右足に体重が乗らないんだ。だからスタンスを肩幅くらいにしてみな。毎打席同じように右足に体重が乗るから」とアドバイスをしました。それで次の打席です。西武ドームの場外にホームランを打ちました! そこで私はびっくりすることなく「こうなるよな」と納得しました。それくらいサンペイはすごいものを持っていましたし、前ポイント打撃をつかみ、今回の偉業を達成したのです。

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

週刊ベースボール

最終更新:8/15(木) 11:06
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