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ブンデスを制圧する日も近い!? 新たなトレンド“レッドブル化”

8/15(木) 12:15配信

footballista

ドイツサッカー誌的フィールド

皇帝ベッケンバウアーが躍動した70年代から今日に至るまで、長く欧州サッカー界の先頭集団に身を置き続けてきたドイツ。ここでは、今ドイツ国内で注目されているトピックスを気鋭の現地ジャーナリストが新聞・雑誌などからピックアップし、独自に背景や争点を論説する。

今回は、ラップトップ監督の台頭がひと段落したブンデスの新たなトレンドとなるのか。ラングニック本人がRBライプツィヒのSDを離れた一方で、彼のイズムを継承するフロントや指導者が一気に増加。拡大する“レッドブル化”勢力と、それに対する懸念。

文 ダニエル・テーベライト
翻訳 円賀貴子


 ラルフ・ラングニックについて語られる時、必ずと言っていいほど触れられる20年以上前のテレビ番組がある。1998年12月に放送された、ドイツの公共放送『ZDF』の人気スポーツ番組「スポーツスタジオ」である。この中で彼は、当時のモダンな4バックがどう機能するかを、戦術ボードを使って“講義”。これがドイツ中で評判となり「プロフェッサー」というあだ名をつけられたのだが、そこには多分に“うさん臭い”というニュアンスが含まれていた。

 バイエルンのGMだったウリ・ヘーネス(現会長)は、当時SSVウルム(2部)の監督だったラングニックを「知ったかぶり」と形容。ラングニックの言葉は聞き慣れない学術的なものであり、かつそれまでドイツで使われていた「血」「汗」「涙」といったレトリックを用いた精神論は皆無だった。現在では学術用語を駆使する監督はかなりいるが、ラングニックはドイツで最も影響力のある「サッカー思考家」である。

ハンジ・フリックの嘆き

 来たる2019-20シーズン、ブンデスリーガは「ラングニックのDNAが入った監督が目立って多くなる」(『南ドイツ新聞』)。ザルツブルクまたはRBライプツィヒで指導経験がある監督だけで5人(編注:ザルツブルクの下部組織で指導経験があるニコ・コバチもカウントしているが、彼の在任期間はラングニックが携わる前だった)。加えて、シャルケはRBライプツィヒから新マネージャー、ヨッヘン・シュナイダーを招へいし、彼が連れて来た新指揮官デイビッド・バーグナーは「プレーアイディアに関してはラングニックに影響された」と明言している。そして、元祖RBライプツィヒにはユリアン・ナーゲルスマンが着任。つまり、リーグの半数近くの監督がレッドブルの「得点の最大チャンスはボール奪取から10秒以内」という哲学を共有しており、極端な言い方をすれば“自分たちのボールポゼッションを邪魔する”。『キッカー』誌はこの状況を「ブンデスは『レッドブル化のプロセスにある』」と評している。

  DFBの元スポーツディレクターで、ニコ・コバチのアシスタントとして新シーズンからバイエルンで仕事を始めたハンジ・フリックはすでに1年前、「ボールを持とうとする意思、持って解決策を作る」ことがブンデスの日常でなくなってきていることを嘆いていた。もちろん、RBスタイルは必ずしも根本的に破壊的なわけではないし、一部のチームがそういうサッカーをするのはリーグを豊かにする。完璧に組織されたチームは非常に魅力的で美しいプレーをする。ポゼッションプレーをする勇気のあるチームと対戦する時は特にそうである。

 だが、「真の意味でゲーム作りの意思がないチーム同士が当たる時には、退屈になる恐れがある」と『フランクフルター・ルントシャウ』紙は指摘する。レベルの高いコンビネーションを備えるはずのチームが完璧に組織されたボール奪取チームと相対する時、些細なミスをしてカウンターを食うことを恐れてボールを持ちたがらなくなることが少なからずある。誰もボールを持ちたがらない試合が美しいゲームになることは、滅多にないだろう。

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最終更新:8/15(木) 12:15
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