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デジタル機器のスピーカーは、ハッキングされると「音響兵器」になる

8/15(木) 19:11配信

WIRED.jp

音楽専用の高価なサウンドシステムから手軽なポータブルタイプ、ノートパソコンや家庭用デヴァイスに内蔵されたものまで、スピーカーは身の周りのさまざまな場所に存在する。こうしたスピーカーは、どれも人間の可聴域外の音波を発することが可能だ。これらのスピーカーをハッキングすることで音響兵器化できるという研究結果が、このほどラスヴェガスで開かれたハッカーたちの大規模カンファレンス「DEF CON」で明らかにされた。

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プライスウォーターハウス クーパース(PwC)のサイバーセキュリティ部門の研究者マット・ウィクシーによると、スピーカーを乗っ取るマルウェアを作成するのは驚くほど簡単なのだという。デジタル機器の内蔵スピーカーをマルウェアに感染させれば、そこから強い超音波を出したり、可聴域の周波数の音を大音量で流し続けるといったことができる。こうした攻撃は聴覚障害だけでなく、精神的なダメージも引き起こすだろう。

「これまでデジタルの世界と現実世界との間の橋渡しをするマルウェアに注目してきました」と、ウィクシーは言う。「許容範囲を超えるレヴェルの音波信号を出し、結果として人体に悪影響を及ぼすようなマルウェアを開発することは可能なのかと考えたのです」

高周波を発するスマートスピーカー

ウィクシーはシンプルなコードや多少複雑なプログラムを作成し、ノートパソコンやスマートフォンの内蔵スピーカー、Bluetoothスピーカー、小型スピーカー、ヘッドフォン、車載音響システム、オーディオスピーカー、特定の方向に音を送れるパラメトリックスピーカー(超指向性超音波スピーカー)など、さまざまな機器を対象にした調査を実施した。

作成したプログラムを埋め込んだデヴァイスを無響室と呼ばれる音の反射をなくした空間に置き、音波の物理量などを調べたのである。また、デヴァイスの表面に温度計を取り付け、温度変化も確認したという。なお、実際にマルウェアを埋め込むには、デヴァイスに物理的もしくはリモートでアクセスすることが必要になる。

この結果、スマートスピーカー、ヘッドフォン、パラメトリックスピーカーからは、複数のガイドラインで推奨されている基準値の平均を超える水準の高周波音波を発信できることがわかった。また、Bluetoothスピーカー、ノイズキャンセリング機能の付いたヘッドフォン、スマートスピーカーでは、推奨値の下限より低い低周波の音を出すことができたという。

さらにスマートスピーカーの場合、攻撃開始から4~5分で本体が極端に熱くなり、壊れてしまうことも明らかになっている。ウィクシーは研究結果を各デヴァイスの製造元に伝えたため、すでにプログラムのアップデートといった対策がとられた。調査対象となったスピーカーの型番などは明らかにされていないほか、デヴァイスを遠隔操作するためのコードやプログラムもウィクシーは公開しない方針だ。

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最終更新:8/15(木) 19:11
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