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日本は北方領土問題を絶望的にわかっていない

8/15(木) 5:50配信

東洋経済オンライン

 北方領土をめぐる発言で物議を醸した丸山穂高衆議院議員が、NHKから国民を守る党へ入党することになった。N国党という現象そのものについては、改めて考察したいと思うが、今回は丸山議員本人の行動や発言に対する、日本言論空間の反応に疑問を呈したい。

 丸山騒動はいわゆる「戦争発言」から始まっているが、丸山氏は北方領土の島民の方に対し、「戦争で北方領土を取り返すのは賛成ですか、反対ですか?」と尋ねた後に、「戦争をしないと、どうしようもないじゃないですか?」といった趣旨の発言をした。そして、「戦争」という言葉を使ったことで非常に強い批判を受けた。

■問題は「戦争」という言葉を使ったことではない

 しかし、筆者からするとこの発言がマズかったのは、戦争という言葉を使ったからではない。「戦争に賛成か、反対か」→「戦争をしないと領土を取り戻せない」という論理構造が根本的におかしいのである。

 「戦争に賛成か、反対か」と聞かれれば、ほとんどの人は「反対」と答えるに決まっている。そして、「戦争しないと領土を取り戻せない」となれば、たいていの人は、戦争は当然嫌だから、北方領土を取り返すことを諦めかねない。つまり、大多数の人は、たくさんの人が死ぬ戦争をしてまで、領土を取り返したいと思わないので、「戦争をしないと取り戻せない」という発言は、「取り返すこと自体を諦める」ことにつながりかねないのである。

 そもそも、現実的に考えれば、戦争しなくても北方領土を取り返すことが可能だ。それには、日本が国力を高めて強い国になり、ロシアが弱くなればいいのである。そして、ロシアが弱くなったところで、多面的な働きかけ(例えば、経済的な援助や、軍事力を背景とした領土返還の要求など)を行い、北方領土を取り戻せばいい。

 以上の理由から丸山発言は大問題なのだが、これよりも何百倍、いや、何千倍も大きな問題なのは、この発言に対する日本の言論界の反応である。いや、むしろあの発言のおかげで、もともと「おかしい状態」にあった日本の言論界の問題点があらわになったとすら言える。

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最終更新:8/15(木) 7:41
東洋経済オンライン

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