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【イージス・アショアの不都合な真実(2)】日本製部品が採用されない防衛産業の闇

8/15(木) 5:56配信

デイリー新潮

「神の盾」に穴という「亡国のイージス・アショア」――豊田穣士(軍事アナリスト)(2/3)

 たった2基で日本をミサイルの脅威から守る“神の盾”イージス・アショア。が、防衛省の杜撰な仕事ぶりが次々と明らかになった上、専門家からは肝心の“レーダー”の性能にも疑問符が付けられて……。背景には、日本の市場を狙う米国軍需産業の思惑があった。

「ロッキード」。日本政治史とは切っても切れないこの響きに、様々な思いを巡らす読者も多いことだろう。最新鋭戦闘機F-35のメーカーとしても有名なロッキード・マーティン社(以下、ロッキード)は、米国最大の防衛関連企業として、優れた技術力を誇ると共に、卓越した政治力を有することでも知られる。実際、日本にある支社にも「政治部」があり、防衛装備の開発や防衛ビジネスに深い知見を有するコンサルタント達とも密に連携しつつ、日本の言論界含め、各方面に深く根を張っている。もっとも、ビジネスと言えど「戦争」である。その勝敗が売り上げとして具体的な数字になって現れる、「商戦」という名の生々しい戦いを勝ち抜くためには、あらゆる努力をするのは企業として当然のことでもある。

 今、配備候補地とされる秋田県や山口県のみならず、日本の防衛政策全体を揺るがせている、イージス・アショア(以下、「陸上イージス」とする)。実は、ここでも「ロッキード」が登場する。もっとも、世界最強といわれる防空システムである「イージス・システム」の開発と製造をこれまで担ってきたのはロッキードであるから、当然と言えば当然である。しかし、陸上イージスを巡っては、「当然」では済まされない、不可解な事実もある。それが、陸上イージスを巡る疑問の核心である、「構成品」の問題だ。

「構成品」とは文字通り、陸上イージスを構成する機器等のことである。一言で「イージス・アショア」と言っても、その施設の中には様々な機器が備え付けられる。例えば、敵のミサイル等を見つける「レーダー」。レーダーが見つけた目標の動きなどを解析する「計算処理機」。脅威となる目標を撃破するミサイルを撃ち出すための「発射装置」などである。これらの構成品がすべて正常に機能してはじめて、陸上イージスで国民の命を守ることができる。

 まず、現在導入が予定されている構成品について、それが決まった選定作業の経緯を振り返ろう。防衛省の公開資料によれば、同省は2018年4月、陸上イージスの構成品に関する提案を国内外から募るべく、要求書および評価基準書を定め、企業などに示して本格的な選定に入った。そして同年6月、米国政府等を通じ、「レーダー」と「(イージス・システムを動かす)ソフトウェア」に関し、二つの選択肢が示された提案書を受領した。

 ここで、陸上イージスの“眼”となる「レーダー」の選定に焦点を合わせたい。「あらゆる邪気を祓う盾=イージス」といえども、邪気を見抜く“眼”が十分に役割を果たさなければ、本来の機能は発揮できない。つまり、軍事的に見れば、レーダーこそが陸上イージスの肝なのだ。

 簡単に言うと、レーダーの選定は二つの米国企業によるコンペであった。米国側から提案された選択肢の一つは、「LMSSR(エルエムエスエスアール)」というレーダー。「LM」とは、提案者であるロッキード・マーティン社の頭文字、SSRとは「(半導体を用いた)固体化レーダー」を意味する。もう一つの選択肢は、「SPY(スパイ)-6(シックス)」という、やはり米国の大手防衛メーカーであるレイセオン社製のレーダーである。

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最終更新:8/15(木) 5:56
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