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米メディアが新製品を酷評、続くサムスンの苦境

8/15(木) 16:00配信

日経ビジネス

 「私はこんなことまでスマートフォンでできるなんて想像もしなかったの。ハロー? みんな、聞いてる?」

【写真】イベントで披露された「ギャラクシーノート10」

 2019年8月7日、米ニューヨークのブルックリンで開催されたサムスン電子の新型スマホの披露イベント「サムスン・ギャラクシー・アンパック2019」。写真投稿アプリの「インスタグラム」で18万人を超えるフォロアーを持つアーティストのシャーン・ダンテスさんは、外に設置されたデモンストレーション・エリアから会場の観衆にこう呼びかけた。

 8月23日発売のサムスン電子の最新スマホ「ギャラクシーノート10」がこの日の主役だ。有機ELを使った6.3インチのディスプレーの「ノート10」と6.8インチの「ノート10プラス」の2種類が披露された。

 想定する顧客層の一例がダンテスさんのような若いインスタグラマーだ。スマホを三脚に置き、付属のスタイラスペンのボタンを押すと遠隔でシャッターが切れたり、スタイラスペンで円を描く動作をするとカメラがズームイン/アウトしたりする。若いユーザーがいかにも喜びそうな機能をふんだんに盛り込んだ。

 その中にこんな機能がある。スマホのカメラを起動させてスタイラスペンで画面の中に絵を描くと、画面に映る空間の中にその絵が3Dで浮かび上がる。スマホを絵に近づけると絵はアップになり、側面に動かすと絵を横から眺めることもできる。ダンテスさんは、こんなデモで会場を盛り上げようとしたが、歓声が一向に湧かなかったため、冒頭のような呼びかけにつながった。

 サムスンとしてみれば、最新の機能に自信があったに違いない。スマホ事業の高東真(コ・ドンジン)社長は壇上で「サムスンは技術革新の最先端を走っている」と胸を張った。だが、イベント後に出た米メディアの反応は真逆だった。

WSJは「新しさのない新しいもの」と酷評

 特に辛口だったのがニューヨークの地元紙だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「サムスン電子は『新しさのない新しいもの(same new thing)』をもはや好まなくなっている消費者を、ノート10で魅了したいと望んでいる」と評価。ニューヨークタイムズは「イヤホンジャックをなくしたアップルやグーグルのスマホをちゃかしていたサムスンが、ノート10で同じことをした」とのAP通信の記事を掲載して皮肉った。

 米国でこうした評価を受けたことは、日本政府による輸出管理の厳格化の影響を受けるサムスン電子にとって危機的状況とも言える。

 7月に発表した同社の19年4~6月期決算は、売上高が前年同期比4%減の56兆ウォン(約5兆1000億円)、営業利益は同56.2%減の6.5兆ウォンの減収減益だった。米中貿易摩擦による中国の華為技術(ファーウェイ)への半導体出荷減などに加え、本のように折りたためるスマホ「ギャラクシーフォールド」で不具合が見つかり、発売を同年9月に延期したことも響いた。

 サムスンが2019年後半の業績回復の切り札に位置付けていたのがノート10だった。だが、米メディア評と同様に消費者からの評価も厳しく、ノート10の売れ行きが芳しくなければ、業績回復は見込めない。さらに日本からの半導体材料の輸入に手間取ることがあれば、半導体事業の売り上げにも悪影響を及ぼしかねない。

 そんな同社に朗報が入ったのは、ノート10発表の翌日(米国時間)だった。日本で世耕弘成経済産業相が会見を開き、輸出管理厳格化の対象となっていた半導体材料の一部の出荷を許可したことを公表した。

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最終更新:8/15(木) 16:00
日経ビジネス

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