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コメディからSMまで、ネットフリックスはあらゆるニッチで世界を埋め尽くす

8/16(金) 12:13配信

WIRED.jp

「ティム・ロビンソンのコントシリーズ」の冒頭は、スケッチコメディのファンたちにちょっとした驚きをもたらしてくれる。ロビンソンは「サタデー・ナイト・ライブ」出身で、ケーブルテレビチャンネルであるコメディ・セントラルの番組のなかではいまいち評判のよくなかったシットコム「Detroiters」のクリエイターでもある。そんな彼が得意とするのは、絶対に引き下がらないタイプのキャラクターだ。

【動画】ネットフリックスのニッチなオリジナル作品

今回は何から引き下がらないのか。それはドアだ。カフェで仕事の面接をうまくやりおおせた彼は、店から出ていくときにドアを引いて開けようとする。それを見た面接官は「押して開けるんだ」と声をかける。ここでたいていの人間はドアを押すだろう。しかし、ロビンソンはそうしない。「どちら側にも開くんです」の一点張りだ。

そのままドアを無理やり自分のほうにじわじわと引いていき、やがてちょうつがいが壊れてしまう。力むあまりによだれを垂らしながら、挑戦的な視線を面接官に投げ続ける──。面白いと同時にとても困惑させられるだろう。こうしたぎくしゃくとした空気にロビンソンの、そして番組の「感性」が完璧ににじみ出ていると言っていい。

Netflixで配信されているティム・ロビンソンのコントシリーズのシーズン1は、エンターテインメント業界で言うところの年齢と性別を軸にした「座標平面」のすべての領域に訴求できる番組ではない。それどころか、どれにも当てはまらない。この作品は「泥まんじゅう(mud pies)」という言葉を、最初のエピソードからいくつもの場面においてスカトロ的な意味合いで使っている作品だからだ。

しかし、この作品が幅広い層に訴求できるかという視点で考えると、ロビンソンの戦術が狙うところも、ネットフリックスがオリジナル番組を急速に増やし続けている意味も見失ってしまう。巨額の制作費を投じて制作されるテントポール作品が大事だというのは、2017年ぐらいの話だ。成長はいまやニッチな作品、いわば「テント同士の小さな隙間」から始まる。

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最終更新:8/16(金) 12:13
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