ここから本文です

フェラーリの4人乗り&フロントV12はアリ? GTC4ルッソはビックリするほど快適なスーパーカーだった!(公道試乗記)

8/16(金) 20:43配信

GQ JAPAN

進化したV12+4WSの相乗効果

思う存分アクセルを開けられるワインディング・ロードにいたれば、GTC4ルッソは雷雲を呼んで大地を駆けまわる龍となる。大舵角が必要なコーナーだって、しなやか、かつスムーズに曲がる。曲がることを嫌がらない。ルッソのなかに抵抗勢力は存在しない。

2011年に登場したFFから、その5年後の2016年に発表されたGTC4ルッソへの進化のひとつは、V12エンジンである。94×75.2 mmのボア×ストロークはそのままに、直噴のヘッドまわりに手を入れ、最高許容回転を8000から8250rpmへと上げている。最高出力は660psから690psへと30psアップ。絶対的な数値もすごいけれど、パワーとトルクが織りなす濃密さに陶然となる。エンジン音はストラディバリウスもかくやの、これぞ名器である。バイオリンとはもちろん音質が異なるけれど、それはさておき、ともかく5000を超えるとクオオオオオオオッとやや甲高い叫びをあげる。マラネロの神々がつくりたまひしV12の爆発音ほど、男子の、もしかして女子の感情をも揺さぶるものはない。感涙。

とりわけ、マネッティーノをスポーツ・モードに切り替えてのダウンシフトでのブリッピングときたら、爆発は芸術だ! 12本のシリンダーによる芸術には、単なる爆発の連続ではない、抑制された美とエレガンスがある。4シーターのV12は一方的に猛り狂ったりはしない。そこが2座GTと異なるところで、4座のGTC4ルッソはあくまで優雅にフェラーリ・サウンドを奏でるのである。

もうひとつ、FFからGTC4ルッソへの進化が、足まわりにくわえられた4WS(後輪操舵)である。4WSは、ヴィークル・ダイナミクスを向上させるべく、4WDの前後トルク配分にE-Diff、SCM-Eサスペンション・ダンピングを含めて統合制御する電子制御システム「4RM」に組み込まれ、「4RM-S」と新たに呼ばれる。

この複雑なシステムによって、GTC4ルッソは龍の如く大地を走る。ホイールベース3m近い巨体を違和感なく曲げることで。

前後重量配分が47:53と、フロント・エンジンなのにリアの方が重たいのも貢献しているだろう。重量物のV12をフロント・アクスルの後ろのいわゆるフロント・ミドに搭載し、7速DCTをリア・アクスルの後ろに配置する。フロント・ヘビーに感じないのはフロント・ヘビーではないから、という単純な事実にもよるのだ、おそらく。

GTC4ルッソの車両本体価格は3470万円。人生100年時代、金融庁の試算によれば、男性が65歳以上、女性が60 歳以上の夫婦で、年金がちゃんと出ても、毎月約5万円の赤字となり、男性が95歳まで生きるとすると、夫婦で2000万円が不足するという。

この金融庁の報告書は、結局、麻生太郎大臣が受け取らなかったので、なかったことになっているけれど、われわれ庶民も投資というものについて考えておくべきなのは自明である。

フェラーリほど投資効果の期待できる自動車はない。GTC4ルッソはおそらく、最後の自然吸気V12を搭載する4シーターになる。となれば、EVが本格化する頃、その人気は大いに高まる……かもしれない。筆者はなんの責任も持てませんが、日本国の国債より費用対効果が期待できる……かもしれない。

いや、投資効果を期待するのだったら、おなじフェラーリでも2座を選ぶべきだというご意見もあるでしょう。狙うは458“イタリア”である。けれど、GTC4ルッソはおとな4人が乗れて、荷物も積める。4WDだから、雨にも雪にも強い。モノよりコト消費のミレニアル世代のかたにオススメといえる。

問題は、庶民が3470万円のクルマをどうやって買うか。それは私も知りたい。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

2/2ページ

最終更新:8/16(金) 20:43
GQ JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事