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「大阪城エレベーターはミス」vs「カブ上がれ!」 安倍首相と小渕恵三のジョークは何が違う?

8/16(金) 5:30配信

文春オンライン

 今年6月に大阪で開催されたG20サミット首脳会議の夕食会では、安倍首相が各国首脳を前にスピーチした。その際、会場となった大阪迎賓館にほど近い大阪城について紹介するなかで、「(大阪城の再建で)一つだけ、大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました」と発言したところ、バリアフリーを否定するものだとして身障者団体をはじめ各方面から批判を浴びた。

【写真】白いカブを持って「株、上がれ!」と叫んだ小渕恵三

 安倍首相としてみれば、批判はある程度見越したうえでの、渾身のジョークだったのだろうか? だが、そもそも昭和初期に再建された大阪城の天守閣は鉄筋コンクリート建てであり、完全な復元を企図したものではないし……と、くだんのスピーチにはツッコミどころもたくさんあった。

安倍首相のジョーク、誰かに言わされている?

 内容以前に私が気になったのは、ジョークを発する安倍首相が、まるで誰かにそう言わされているかのような口ぶりだったことだ。ジョークというのは本来、スピーチライターが原稿を作成するにしても、それを発する人物の人柄だったり知性や教養をうかがわせなければ成立しないはずである。それにもかかわらず、安倍首相のジョークは心から発せられているという印象が希薄で、無理して言っているような感じすらした。せっかく用意したのに、首脳たちにさほどウケず、一般にも「たぶんジョークなのだろう」と微妙な受け止め方をされたのも、きっとそのためだろう。

 安倍首相にかぎらず、日本で生まれ育った人間は全般的に、公の場で気の利いたジョークを交えながら話をすることが苦手なのかもしれない。今年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長が、母校であるアメリカ・バブソン大学の卒業式で、ジョークもふんだんに盛り込んだスピーチを披露して話題を呼んだ。しかしこれにしても、ボディランゲージを交えたオーバーな話し方が不自然に見えない英語のスピーチだからこそ、という気もする。

「株、上がれ!」は滑っていたが……

 では、日本の指導者が、日本語でごく自然にジョークを飛ばすのはまったく無理なのかといえば、そういうわけでもないだろう。そこで私が思い出すのは、ちょうど20年前に首相を務めていた小渕恵三だ。1998年に首相となった小渕は、就任直後に視察先の青果店に並んでいたカブを両手に握り、「株、上がれ!」と叫んだことがいまも記憶に残る。ギャグとしてはあきらかに滑っていたとはいえ、そのパフォーマンスには、「人柄の小渕」と呼ばれたキャラクターがにじみ出ており、けっして無理な感じはなかった。

 小渕は翌年、1999年には、「ブッチホン」の語(小渕が、雑誌で自分について言及した人やメールをくれた一般人にいたるまで誰彼かまわず電話をかけていたことを指す、本人による造語)で、新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれている。このときの大賞は、プロ野球・西武の松坂大輔の「リベンジ」および巨人の上原浩治の「雑草魂」(所属チームはいずれも当時)と同時受賞となり、授賞式に駆けつけた小渕は、「私も中曽根、福田総理の間で雑草魂で頑張りました。この間の総裁選もやりまして、リベンジにも縁があるんです」と、両者の言葉を自分にかこつけてスピーチしてみせた(※1)。

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最終更新:8/16(金) 5:30
文春オンライン

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