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クモヒメバチの思うがままに巣を張り仕舞いには体液を吸い尽くされ殺されるクモの哀しい最期【えげつない寄生生物】

8/16(金) 7:00配信

デイリー新潮

殺す直前にクモの巣を作り変えさせる

 このハチの幼虫はクモを最後まで生かすわけではありません。蛹になる前に、宿主であるクモの体液をすべて吸い尽くし、殺します。

 しかし、その前に宿主を操作して、クモの巣を作り変えさせるのです。ハチの幼虫は、殺す直前にクモの体内に何らかの物質を送り込みます。すると、クモはこれまでの捕虫のためのらせん状の繊細な巣から、細い糸を減らし、少ない本数の糸で中心を支える巣に作り変えていきます。しかも、その本数の減ったクモの糸には綿のような装飾がつけられているのです。

巣の形を操る理由

 成長したハチの幼虫は、なぜ、このような形にクモの巣を変えさせるのでしょう。もちろん、ハチが生き延びるために巣を変えさせるのです。

 成長したハチの幼虫は成虫になるために、まず蛹にならなければなりません。蛹の状態というのは動けず無防備で最も危険な状態です。ハチは、そんな無防備な状態でクモの糸の網の上で10日以上過ごさなければなりません。また、捕虫に特化した巣は非常に繊細で、風雨や飛翔生物によって簡単に巣の一部が壊れます。宿主であるクモが生きていれば壊れた巣を補修してくれますが、ハチは自分が動けなくなる蛹になる前には宿主を殺さなければなりません。巣の持ち主であるクモが死んでしまうと、誰も巣の補修をしなくなり、すぐに朽ちていきます。

 これらの問題を解決するため、ハチの幼虫はクモを殺す前に頑丈な網の巣に作り変えさせるのです。

 実際、神戸大の研究チームが操作された巣に使われている糸の強度を計測したところ、操作された網は、クモが脱皮に備えて張る「休息網」に比べて外周部で3倍以上、中央部で30倍以上の強度をもっていました。

クモの糸に付ける綿のような装飾のわけ

 宿主は操られると、頑丈な網を作り、さらに綿状の糸を直線糸に吹きつけて綿のような装飾をつけます。この装飾にも重要な役割があります。この装飾によって紫外線をはね返していたのです。紫外線は人には見えませんが、鳥や昆虫にはよく見えています。つまり、この装飾は、飛んでいる鳥や昆虫が誤って巣にぶつかることがないよう、信号のような役割を果たしていたのです。

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最終更新:8/16(金) 7:00
デイリー新潮

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