ここから本文です

クモヒメバチの思うがままに巣を張り仕舞いには体液を吸い尽くされ殺されるクモの哀しい最期【えげつない寄生生物】

8/16(金) 7:00配信

デイリー新潮

宿主クモの哀れな最期

 宿主であるクモは、ハチが蛹の間、持ちこたえられる壊されにくい頑丈な網を作り終えると、用済みになります。その頃には、ハチの幼虫は宿主であるクモと同じくらいの大きさに成長しています。次に、ハチの幼虫は、クモを殺し、クモの体表から離れて蛹になります。しかし、そのためにはクモの網に自力でぶら下がる必要があります。ですが、ハチの幼虫には脚がありません。

 ここでも、ハチの幼虫は驚くべき技を見せてくれます。ハチの幼虫はクモを殺すときになると、背中にマジックテープ式の微細刺毛のついた突起が現れます。そして、それまでぴったりと取りついていたクモの体液を残らず吸い尽して殺します。死骸となったクモは捨てられ、ハチの幼虫は突起によってクモの網に自力でぶら下がり、蛹になるのです。

※参考文献
高須賀圭三(2015)「クモヒメバチによる寄主操作―ハチがクモの造網様式を操る―」『生物科学』66 pp.89-100.

Takasuka, K., Yasui, T., Ishigami, T., Nakata, K., Matsumoto, R., Ikeda, K., Maeto, K. (2015) Host manipulation by an ichneumonid spider ectoparasitoid that takes advantage of preprogrammed web-building behaviour for its cocoon protection. Journal of Experimental Biology 218 : 2326-2332.

 ***

次回の更新予定日は2019年9月20日(金)です。

バックナンバーはデイリー新潮で公開中。
連載一覧はこちらhttps://www.dailyshincho.jp/spe/parasite/から。

成田聡子(なりた・さとこ)
2007年千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。理学博士。
独立行政法人日本学術振興会特別研究員を経て、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所霊長類医科学研究センターにて感染症、主に結核ワクチンの研究に従事。現在、株式会社日本バイオセラピー研究所筑波研究所所長代理。幹細胞を用いた細胞療法、再生医療に従事。著書に『したたかな寄生――脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち』(幻冬舎新書) 、『共生細菌の世界――したたかで巧みな宿主操作』(東海大学出版会 フィールドの生物学(5))など。

2019年8月16日 掲載

新潮社

4/4ページ

最終更新:8/16(金) 7:00
デイリー新潮

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事