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一度人を襲ったクマ・人を食べたクマは、次に人を見た時に必ず襲いかかってくる

8/16(金) 11:31配信

デイリー新潮

400kg超え、軽自動車大のヒグマ

――クマを見つけた時は、どんなことを考えますか。

H:その瞬間は「止まれ!」って思っていますね。「そこで止まれ、止まれ」って。止まらなかったら走ってても撃っちゃうんだけど、たいてい止まってくれるので、こっちを見た瞬間に撃つ。銃はもう照準を合わせていますから。

 シカもそうですが、僕はクマもほとんど頭しか撃たないんですよね。頭が見えるところで止まった瞬間に撃つ。そうするとほとんど一発で倒れます。頭しか撃たないのは、一発で殺さないと暴れたりなんなりしちゃうから。距離が近いこともあって、10mくらいで撃つこともありますね。

 今年獲ったのは、30mくらいの距離で1頭と、20mくらいの距離で1頭。クマは動きが速いんで、その距離で撃ち損じたら大変ですよ。クマはシカよりも速い。速くないとシカを追いかけて捕まえることできませんから。

――「クマ撃ち」として、世間に言いたいこととかありますか。

H:動物を保護する視点しか持っていない人もいますが、僕のような猟師はやたらに撃っているわけではありません。依頼された駆除でなく、自分が獲る限りにおいては、自分たちが食べる分だけ。1頭か2頭獲ったら、それ以上は何頭いても撃ちません。それ以上獲っても処理が大変なだけですから。

 街中に出てきて農作物を食べてしまうクマの駆除についても、「かわいそう」という人もいるようですが、もし自分の家の近くにクマが出てきたら……と想像すれば、そこに住む人たちは本当におっかないですよ。銃を持っているわけでもないのに、真っ昼間に、家の前までクマが来るわけですから。「黙ってじっとしていたら、襲ってはこない」と思ってるかもしれませんけれど、そんなことはありえないわけだから。

――吉村昭さんが描いた小説『羆嵐』を思い出します。題材になった三毛別羆事件では、340kgの巨大エゾヒグマが次々と民家を襲い、7名の死亡者が出たそうですね。

H:人を襲ったクマとか人を食べたクマって、そういう習慣がついてしまっているんですよ。だから絶対に獲らないといけません。放っておいたら、次に人を見た時に、また必ず襲いますから。でも駆除のニュースが流れると、猟友会には「なんで獲るんですか、クマがかわいそう」という電話がかかってくるみたいで。現状をご存じないから、そうなるんでしょうね。

――ちなみにこれまで仕留めたクマで、一番大きいのはどのくらいの大きさでしょうか? 

H:これまで仕留めたクマで一番大きいのは 400kg超えですね。大きさで言えば、軽自動車くらいですかね。すごく大きいです。冬で穴に入っていたんですが、穴の近くにいたもんだから、もう1人頼んで、出てくるのをしばらく待って。出てきたところを2人で頭をドンと撃って、それで終わりです。獲ったクマは翌朝3人で行って解体して、雪の上を引っ張るプラスチックのソリ、3台か4台くらいに乗せて持って帰りました。1日がかりで、戻ったら夕方の6時、真っ暗になってましたね。

 ハンターが減ってシカがすごく増えているから、それを餌にするクマも増えているんですよね。北海道でも今は冬眠しないクマもいます、一年中食べるものに困らないから。だから山奥にいるクマは大きくなるし、増えてしまうんですよね。

――最後に、クマと出合ってしまった時にどうしたらいいか、教えてください。

H:急激な動きは絶対にいけません。慌てて逃げたら絶対に追ってくる、それが習性ですから。逃げるにしても、クマのほうを見ながら、ゆっくりと後ずさりする。クマに背中を向けて走ったら絶対にダメです! 

猟師・Hさん
旭川市在住、58歳。猟師だった父親、兄の影響で、幼いころから狩猟に関わり、20歳から自身も狩猟を始める。現在は林業に従事する傍ら、クマをはじめとする様々な獲物を狩る狩猟歴38年のベテラン猟師。地元では知られた、数少ない「クマ撃ち」の凄腕ハンター。

取材・文/渥美志保

2019年8月16日 掲載

新潮社

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最終更新:8/16(金) 18:57
デイリー新潮

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