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韓国の半導体産業、世界の供給網への影響も“空騒ぎ”

8/16(金) 18:00配信

日経ビジネス

 「韓国に対する輸出規制発動」に関する問題で、新たな動きがあった。かつて経済産業省貿易管理部長としてこれらの問題に対応してきた細川昌彦氏は、「韓国の半導体産業に大打撃」、「世界の供給網に影響を与える」といった見方は不安を煽り過ぎだと指摘する。8月12日、韓国が日本を輸出管理の優遇対象国から除外を決定した件についても実態上の影響はほとんどないと細川氏はみる。

【写真】日本政府が個別許可にした、半導体材料の3品目の韓国向け輸出。8月8日には個別許可後、最初の許可が下りたとの発表があった。(写真:shutterstock)

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 8月8日、半導体材料3品目の個別許可後、最初の許可が下りたとの発表があった。

 世耕通産相は「この措置が禁輸ではないことを示すために公表した」と言う。識者は「韓国の半導体産業への影響はもう少し見定めないとわからない」ともっともらしくコメントするが、実は見定めなくても影響がほとんどないことが分かるのだ。

●半導体材料の個別許可、通常の4、5週間で

 7月4日、日本政府は半導体材料の3品目の韓国向け輸出を個別許可にした。

 8月8日、この措置後最初の許可が下りたことが発表されたが、これは当然予想された通常の審査のタイミングだ。さまざま臆測が飛び交っているが、日本が許可を意図的に早めたというのはうがった見方だ。今後も次第に申請された許可が次々下りてくるだろう。恣意的に審査を左右することはあり得ないことは拙稿「「なぜ韓国の『ホワイト国除外』で“空騒ぎ”するのか」でも述べたとおりだ。

 審査期間に90日かかるという俗説が相当流布している。これは行政処分の目安として定められる標準処理期間で、実際に要している審査期間とは無関係だ。実際には平均4~5週間といったところだ。このことは補足解説2で既に指摘しているところだが、今回の許可公表はまさにそれが正しかったことを示している。1カ月以内で処理されるものが約8割を占める。

 サムスン電子は日本の全サプライヤーに90日の在庫を韓国国内で持つように指示しているようだが、これはこうした俗説に影響されての過剰反応で、無駄なコストを生じさせている。

●規制対象は数量ベースでたったの0.1%、半導体の量産に影響なし

 韓国と半導体産業、世界の供給網への影響は限定的であることはこれまでも指摘してきたが、さらにこれを深掘りしよう。

 そもそもこれら3品目の個別許可が韓国の半導体産業にどれだけ影響するのだろうか。まず着目されるのが日本への輸入依存度だ。レジスト、フッ化ポリイミドは9割以上。フッ化水素は4割以上だ。

 しかしこうした数字だけで影響を判断してはいけない。

 例えばレジストについて言えば、現在量産化されている半導体製造に使われているものはそもそも規制対象外だ。規制対象は韓国でまだ試作段階にあるものに使う材料で、業界関係者によると数量ベースで0.1%程度だという。前述の8月8日に公表された許可も、サムスン電子が2020年以降の新製品の試作に使うために輸入するものだ。現在の量産品に使われているレジストについては許可は不要で、今回の措置によって影響されない。

 フッ化ポリイミドも同様だ。LGグループは「現在の平面の薄型テレビには必要なく、現在開発中の画面を巻物のように曲げられる新型テレビに使われるものだ」とコメントして、今回の措置が現在の量産品には影響しないとしている。

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最終更新:8/16(金) 18:00
日経ビジネス

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