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『加藤の乱』がもたらした吉本のエージェント契約にひそむ落とし穴

8/17(土) 11:01配信

FRIDAY

「世間の人もそろそろ飽きてきたんじゃないの」

オール巨人が『週刊新潮』(8月15・22日号)の直撃取材を受けてこう語っていたように、吉本芸人の“闇営業問題”については世間の興味も薄れつつある。

まだあった! 有名芸人たちが今度は「詐欺組織誕生会」で闇営業

宮迫博之の「100万円は受け取っていない」という“ウソ”のせいで大きく膨らんでしまった騒動から2か月、無期限の謹慎処分を下されていた芸人たちも近々処分解除となるようだし、吉本興業も指摘されていた契約問題について新方針を打ち出し、騒動は収束に向かっているように見える。

だが、問題がまだ完全に決着がついたわけではない。それどころか新たな騒動の火種が生まれた恐れもある――。

今回の騒動の中で、特にと言ってもいいほど注目されたのが『極楽とんぼ』加藤浩次が決起した『加藤の乱』だ。

自身がMCを務める朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で、

「今の会長と社長の体制が続くんだったら、僕は吉本興業を辞めます!」

と吠えたのは7月22日のことだった。

これを発火点に若手後輩芸人からは、次々と吉本批判が噴き出した。「狂犬加藤の面目躍如」などと、加藤を後押しする声も上がり、視聴者や彼のファンは「さすが加藤! やってくれる」と絶賛の声も上がった。

だが会長と社長が退くことはなかった。となれば「加藤は絶対吉本を辞める」と確信した人は多かっただろう。

しかし、実際は、「今後は吉本と『エージェント契約』を結ぶ」ということで決着がついた形だ。このモヤーっとした、ちょっと期待外れの結果に拍子抜けした人も多いのではないだろうか。

ネット上でも、

「結局懐柔されてしまったのか」
「最初の勢いはどこへ行っちゃったのか」

などと反発する声もあり、また、裏切られたと感じている後輩芸人もいるという。

そもそも『エージェント契約』とは、ハリウッドのスターやプロスポーツ選手によく見られるものだが、この場合は、

「簡単に言えばエージェントである吉本興業が仕事を取ってきて、クライアントであるタレントに仕事を渡し、その仲介手数料をエージェントが受け取るという仕組みです。今までと大きく異なるのは、吉本はマネージメントをしないということ。マネージメントはタレントが個々に行います」(スポーツ紙記者)

加藤は個人事業主として吉本から仕事を請け負う形となり、所属ということではなくなるわけだから、“公約”どおり吉本を辞める形になる。

しかし、吉本との関係が完全に切れたようには見えないので、一部で報じられたように“残留”と受け取られても仕方ない。

これに対して加藤は、自身が出演したラジオ番組で、

「現状の仕事は吉本を通してやりますけど……っていうこと。吉本をエージェントとして、僕自身がやるということで、他のエージェントととも仕事をする」と、けして“残留”ではないと語った。

そして今後、吉本はすべての芸人・タレントの意向やニーズに合わせた契約形態をとると発表した。共同確認書をすべての芸人・タレントと交わしたうえで、専属エージェント契約形態を導入することになったというのだ。

これによって所属タレントの“直営業”という問題はなくなり、事務所とタレントの関係も改善されることになるだろう。良い方向に向かっているようには見えるが、実は吉本の芸人たちにとって喜ばしい話ばかりとは言えない。

今回、会社に対して怒りをぶちまけた芸人たちの多くが抱いている不満は“ギャラ”について。なかなか芽が出ず、仕事が少ない芸人も「生活できるようにしてほしい」という声が上がった。中には、給料の最低保証をしてほしいという要望も出ていた。『エージェント契約』が導入されることによって、彼らは果たして生活が楽になるのだろうか。ますます苦境に立たされることになるかもしれない。

「吉本としても、仕事のオファーがきそうもない、将来性も感じない芸人は所属させても会社の利益にはなりません。それでも、どうしても吉本で仕事したい芸人はエージェント契約となるでしょう。ですが手数料で稼ぐエージェントが仕事を取ろうと考えるのは当然ギャラの高い芸人になるでしょう。なかなか芽の出ない芸人は、お情けで吉本の舞台に立たせてもらえるかもしれませんが、今置かれている状況とそれほど変わることはなく、もしかしたらもっとひどくなるかもしれません」(芸能プロ幹部)

声高々に叫ばれていた“契約”は、吉本の場合はかえって芸人たちの首を絞めることになるかもしれず、6000人と言われている所属芸人たちの半数は辞めていくのではないかという。

また、今回の件で吉本に反旗を翻し、SNSで会社批判した芸人たちもこのままでは済まないという話も出ている。彼らがもしエージェント契約しか結べないとなれば、“飼い殺し”にしておくことも可能だからだ。吉本が仕事を取ってこなければ自分たちで動かなければならない。その負担は大きく、またテレビ局が吉本に忖度する可能性も捨てきれない。

そして、宮迫や入江慎也は“反社会的勢力との交際”を報じた各メディアに対して「事実ではない」として、法的手段に訴えることを考えているという。

世間はいい加減飽きてきたかもしれないが、実際はまだもうひと波乱、ふた波乱ありそうな気配だ。

文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中

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最終更新:8/18(日) 15:51
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