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60馬力&2万回転!? もしも【コスト度外視、最新技術】で4気筒250ccを作ったらどうなるのか

8/17(土) 11:01配信

WEBヤングマシン

エンジン設計のスペシャリストが大考察!

今の技術で250ccの4気筒を作ったら、どんなエンジンができるのか? 構成は? メカニズムは? そして、パワーや最高回転数は!? エンジン設計のプロフェッショナルに“理想のニーゴー4発”を考えてもらったら、モノスゴイ説得力だった!

4発クォーターよ、復活せよ!!!

正直な話をしよう。僕は超高回転エンジンのマニアだ。エンジン設計を生業とし、30年以上もいろんなエンジンに携わってきたが、個人的には若い頃から超高回転エンジンが一番好きだ。

ここで言う超高回転とは、だいたい15000rpm以上を指すと考えてほしい。当てはまるのは2輪の小型マルチシリンダーエンジンと4輪のF1エンジンぐらいしか見当たらない。では、それらのどこに人を虜にする魅力があるのだろう。

こんな話をするのも、今回のお題が250ccの4気筒だからだ。編集部からの情報では、近い将来に新たな4発クォーターが出るらしい。どうせ出るならこんなエンジンがいいな……というのを、エンジン設計者兼マニアの立場で考えてみたい。

【解説:稲垣一徳(イナガキデザイン代表) メーカーからエンジンの設計やコンサルティングを請け負うエンジンのスペシャリスト。関わったエンジンは明かせない物が多いが、1990年代後半にWGP500に参戦した、チームケニーロバーツの2ストロークV3エンジンは氏の設計だ】

皆さんは、4発クォーターの熱き時代を覚えているだろうか? 30年ほど前、レーサーレプリカブームの勢いに乗って、2ストロークも4ストロークも250ccはみな45psまで性能アップした時代があった。2ストクォーターはレーサーのほぼ正確なレプリカで、フルパワー化すると大排気量車を簡単にカモれるぐらいの性能を持っていた。対して4スト4気筒クォーターはと言うと、15000rpm近くのピークパワー付近はそれなりに速いものの、2ストよりも車重が重くて車幅も広く、それほど速いイメージはなかったのではないだろうか。

しかし、そんな4スト4気筒クォーターに魅力を感じていた人は僕を含めて大勢いたと思う。私事で恐縮だが、我が家にはカワサキのバリオス(それも45psの初代)がある。息子のバイクだ。熱き時代を知る由もない彼が自分で選んだバイクで、不思議に思って選択理由を聞いたことがある。理由の一つは「音が良いから」とのこと。息子は音楽好きでサックスを吹くが、確かに4発クォーターはまるで管楽器のような、昔の高回転F1エンジンに近い音がする。1シリンダーあたりの排気量が62ccしかない4発クォーターは、吸排気バルブの径もφ20mm以下しかなく、確かに管楽器サイズなのだ。

4発クォーターが新たに登場するとしたら、心配なのはこの魅力的な音だ。これから出るエンジンは、2020年から始まるユーロ5規制に適合させる必要がある。そのためには様々な排ガス処理装置が必須だが、三元触媒は排ガスを浄化する際に音を消してしまうし、二次エア導入装置やEGR装置のために吸気ポートや排気ポートに開けられた穴は、超高速で流れる吸気や排気にとって邪魔者でしかない。加えて、触媒を最も浄化効果が発揮できる場所に置けば、出力や音に大きな影響を持つエキパイの管長や形状にもおのずと制約が生まれてしまう。

でも、この時代にわざわざ4発クォーターを復活させるのだ。ここはユーロ5をクリアした上で、本当の超高回転と管楽器のような音の共存をぜひ目指して欲しいと思う。

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最終更新:8/17(土) 11:01
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