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「本当に有意義」な記事が見えてくる? ニュースアプリ「Gem」が挑むアルゴリズムの革新

8/17(土) 12:31配信

WIRED.jp

多くのニュースアプリには、扇情的な見出しやエコーチェンバーを助長するアルゴリズムが潜んでいる。この欠点を改善すべく、リコメンド機能を工夫することで「人が本当に大事にしている要素」を反映したニュースアプリ「Gem」が、このほど米国で発表された。扇情主義を抑制し、有意義な記事を浮かび上がらせるという試みは、アルゴリズムを立て直す動きが目立つなかでも注目していい。

アルゴリズム立て直しを図る大手

インターネットは、次々とリコメンドを繰り出してくる。

「『チェルノブイリ』を視聴しましたね? こちらの暗いドラマシリーズもいかがですか?」「履歴に基づいてどんどんアップデートされるプレイリストなんてどうでしょう?」「ショッピングカートの登山靴に合わせて、この靴下もおすすめです」「Facebookで『いいね』しましたね? 同様のおすすめ投稿はこちらです」──。

そんなアルゴリズムに対してヘンリー・ボルディジャールは、そう遠くない昔に“怪しさ”を感じ始めた。彼がまだ瞑想アプリ「Calm」の開発に携わっていたころの話だ。

「その晩、わたしはFacebookを眺めていました。フィードにあるものといえば扇情的な見出しか、くだらない猫の写真のどちらかでした」とボルディジャールは言う。ニュースフィードはどうしてこうなんだろうと、彼は不思議に思ったのだ。「こういうものの代わりにニュアンスや正確性といった、人々が本当に大事にしている要素を反映した評価システムを採用したらどうだろう」

そして彼はひらめいた。ボルディジャールはCalmを辞め、有益なアルゴリズムでニュースを届けるアプリの開発に取り組み始めた。そのアプリ「Gem」が、このほど米国でiOS向けに公開された。

二項対立の評価は、もういらない

Gemは一見すると「Apple News」に似ている。「テクノロジー」や「カルチャー」など読みたいカテゴリーを選択する方式で、よくあるニュースアプリのようだ。しかし、ほかのアプリとの大きな違いがふたつある。

まず、ユーザーが記事を「賛成」と「反対」の単なる二項対立ではなく、記事を形容する単語を使って評価することだ。選択肢には「客観的」「驚きがある」「ニュアンスがある」など、ボルディジャールが「インターネットの栄養分」と呼ぶものが揃っている。この仕様の目的は、扇情主義を抑制し、実際に有意義な記事を浮かび上がらせることにある。

もうひとつは、ユーザーが見たいものをコントロールできるようなアルゴリズム設計だ。記事は種類(「チュートリアル」「オピニオン」「ニュース」「インタヴュー」「レヴュー」など)によってフィルタリングできる。さらに、そこに「ニュース性」や「人気度」「閲覧履歴」などの要素を加え、各要素をどれくらい重視するのかを調整することも可能だ。

一方で、アルゴリズムによる記事のリコメンデーションがあるのは、ほかのアプリと同じだ。いちばん楽しめそうな記事を厳選した「逸品(gem)」などがその例である。ただし、エコーチェンバー化の傾向があったり、プロセスが不透明でユーザーに管理不可能なものであるといった、ほかのニュースアプリの欠点は回避しようとしている。

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最終更新:8/17(土) 12:31
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