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認知症の母を看取った長女が「泥棒猫!」と罵られた相続の現場

8/17(土) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

争いが絶えないことから「争族」と揶揄される「相続トラブル」。当事者にならないために、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は遺産分割でトラブルに発展しやすいという、二次相続にまつわる事例を円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

相続トラブルは「二次相続」で起きやすい

遺産の分配で、よく揉めるケースがあります。その筆頭といえるのが、「二次相続」の場合です。夫婦のどちらか一方の方が亡くなってしまうことを一次相続といいます。その後、夫婦のうち、残された方が亡くなってしまうことを二次相続といいます。

平均余命からすると男性の方が先に亡くなってしまうことが多いですが、夫が亡くなってしまった時に、妻が相続する財産に多額の相続税が課税されてしまうと、今後の妻の生活に大きく支障がでてしまいます。そもそも、夫婦の財産は、夫婦が長年協力して築き上げたものです。「そんな財産に相続税を課税するのはあんまりだ!」趣旨のもと「夫婦間の相続には、最低でも1億6000万円まで相続税を課税しない」という配偶者の税額軽減という制度があります。

1億6000万円まで非課税となるお得な制度なので、遺言をもって「私の財産はすべて妻(夫)に相続させる」というケースはよくあります。しかし二次相続のことまで考えないと、逆に高額の相続税が課せられることもあり、注意が必要です。しかし争族が起こるポイントはそこではありません。ある家族の事例を見てみましょう。

父親、母親、長男、長女、という4人家族がいました。長男は大学進学を機に実家を出て、その後結婚。地方で妻と子ども2人と暮らしています。実家に帰ってくるのは、盆か正月か、その程度でした。一方長女は、地元の大学に進学後、地元の企業に就職。結婚はせずに、そのまま実家暮らしを続けていました。

兄弟仲は、昔から良くもなく、悪くもなく。ただ長男が結婚してからは「お兄さんは、お兄さんの家庭があるから」と、遠慮がちになっていき、少しずつ疎遠になっていました。そんなある日、父親が亡くなってしまい、遺言により母親が全財産を相続することになったのです。

「相続のことは遺言のとおりでいいよ。それよりお母さんのことが心配だ」

突然の父親の死に、長男は母親のことを心配しました。

「お母さんの面倒は私が見るから、お兄さんは安心して」

元々母親と同居していた未婚の長女は、兄にそう言いました。家庭を持つ兄に遠慮をしたわけではなく、自然と出た言葉でした。

「お前が見てくれるなら安心だ。頼むよ」

結婚を機に実家を離れている長男は、受験を控えた子どももいて、親の面倒に時間を割くことは難しいのが現状。長女からの申し出は純粋にありがたく、甘えることにしました。その数年後、母親は認知症と診断され、介護が必要になりました。しかし長女は母親を施設に入れることなく、自宅介護にこだわりました。

「お母さんの介護、大変じゃないか。施設に入れたらどうだ?」

長女の負担を心配して、長男は電話をしてきました。

「慣れ親しんだ自宅から離れるなんて、お母さんがかわいそうでしょ」

と長女。「大丈夫」という長女の言葉に、長男は納得して母親の介護は長女にまかせることにしました。そして最終的に長女は自宅で母親を看取ったのでした。

母親の葬式が終わり、久しぶりに長男と長女が両親との思い出話で盛り上がりました。そのあと、遺産分割の話題に。そのとき、悲劇は起きたのです。

「おい、なんでこんなにお金が減っているんだよ!」

母親が残した通帳を見て、長男は長女に激怒しました。

「お母さんの介護に、色々お金がかかったのよ。毎日、毎日ヘルパーさんに来てもらって、大変だったのよ。それに認知症になる前に、きちんと手続きをして、もしもの場合でもお母さんの面倒にお金を使えるようにしていたんだから。そんな苦労も知らずに、何よ今さら!」

「嘘だ! 認知症がすすんでお母さんがわからないことをいいことに、自分のことに使ったんだろ! この泥棒猫が!」

「なによ、散々お母さんの面倒を見させておいて自分は何もしなかったくせに! お金がもらえる場面になって、そんなこと言いだすなんてズルいわよ! 自分の子どもにお金がかかるから、自分の取り分が少なくなるってムキになっているんでしょ。お兄さんこそ、泥棒みたいなもんじゃない!」

「なにを、お前なんかとは絶交だ! 裁判でも何でもして、もらえるお金はもらうからな!」

そう言って、長男は実家を出ていってしまいました。

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最終更新:8/17(土) 9:00
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