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高齢者の「うつ病」ほど早期治療が必要な理由

8/17(土) 15:00配信

東洋経済オンライン

睡眠欲や食欲など、さまざまな意欲を失わされる「うつ病」。現代人の多くが悩まされる病ですが、とくに老人の場合は、「認知症」と見分けることが難しいなど注意が必要です。高齢者はうつ病とどう向き合えばいいのか?  老年精神科医として、これまで多くの患者を診察してきた和田秀樹氏が解説します。
 ボケ、認知症とは異なる「心の老化」で、とくに気をつけたいのが「うつ病」です。「心の老い仕度」としては、むしろこちらのほうが大切です。

【図表】「老人性うつ病」と「認知症」のちがいは?

 うつ病は、「心の風邪」とよくいわれます。そう呼ばれるほど、誰もが発症する可能性がある「心の病気」です。ただし、「心の風邪」という言葉の響きほど「軽い病ではない」ことも、しっかり知っておく必要があります。

■「うつ病」は放置してはいけない

 うつ病は、放っておいてよくなるものではなく、「こじらせるとリスクが大きい」という点で、「万病のもと」といわれる風邪と共通点があります。軽いからといって放置していい病気ではありません。とくに高齢の人のうつ病は、認知症と勘違いされたり、放置されたりしがちで気をつけないと大問題につながるのです。

 うつ病についての誤解や偏見もまだまだあるので、本人も、家族をはじめとする周囲の人も、うつ病についてきちんと知っておくべきことがいろいろあります。

 いちばんの問題は、「うつ病が原因で自殺する人」がかなり多いということです。欧米での推定では、自殺した人の約70%は、うつ病にかかっていたとみられているのです。

 ほんの数年前まで、日本では「年間3万人超」の人たちが、さまざまな理由で悩みを抱いた揚げ句、自殺の道を選択していました。しかし、その後の対策によって、自殺者は減少しています。

 この自殺者数の減少には、何かと評判が悪い、かつての民主党政権が自殺対策を行ったことが影響したといわれています。民主党政権のときに、うつ病対策として、「お父さん、眠れてる?」というポスター告知を展開するなど、「うつ病の疑いがあれば早期に医者にかかる」ことを推奨したのです。

 その結果かどうかはっきりとはわかりませんが、2012年に「日本人の自殺者数が15年ぶりに3万人を切った」という報道がありました。「不眠」が、実はうつ病の症状の1つだということを強調した結果ではないかと思います。そして現在では自殺者数は2万1000人を切っています(2018年)。しかしながら、自殺者が年間3万人を超えていた14年間で、約45万人が不本意な死を選んでいたのです。

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最終更新:8/17(土) 15:00
東洋経済オンライン

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