ここから本文です

「あぁ、生まれてきてよかったな」 ヤクルトーDeNA“幸福な3連戦”で思い出した寅さんの言葉

8/18(日) 11:00配信

文春オンライン

「人間は何のために生きるのか?」を、寅さんに教わった

 今年の12月27日、『男はつらいよ』の最新作が公開される。全48作(+特別編)のDVDセットを購入し、今でも折に触れて何度も見返すほどの寅さん好きの僕としては、主演の渥美清亡き今、どんな新作が作られるのか、期待と不安が入り混じった「第50作目」である。さて、寅さんシリーズには名場面、名セリフが山のようにあるけれど、その中でも、大好きなセリフがある。

この記事の写真を見る

 第39作『寅次郎物語』の終盤。いつものように、年末年始の稼ぎどきに向けて、故郷を旅立とうとする寅次郎。冬の夕暮れどき、甥っ子の満男とともに柴又駅まで歩いている。駅前に着くと、思いつめた表情の満男が寅次郎に尋ねる。

「おじさん……」
「何だ?」
「人間てさ……」
「人間? 人間どうした?」
「……人間は何のために生きてんのかな?」

 この頃の満男は思春期真っ只中の17歳で、自分の将来のことに思い悩んでいた。ナイーブで繊細な感情表現を演じさせたらピカイチの俳優・吉岡秀隆の真骨頂の場面だった。ちなみに、この映画が公開されたのが1987(昭和62)年12月のこと。満男を演じる吉岡も実年齢は17歳であり、暗闇の中でじっとスクリーンを見つめていた僕も17歳だった。突然の質問に驚きつつも、寅さんは諭すように満男に言う。

「難しいこと聞くなぁ。……うーん、何て言うかな、ほら、“あー生まれてきてよかったな”って思うことが何べんかあるじゃない。そのために、人間生きてんじゃねぇのか」

 寅次郎の言葉に対して、満男は自分なりに反芻するかのように「ふーん」と口にする。そして、寅さんは満男の肩を叩きながら続ける。

「……そのうち、お前にもそういうときが来るよ。まぁ、頑張れ!」

 劇中の満男と同じ17際だった僕は当時、このシーンにいたく感激した。そして、折に触れてこのセリフを思い出しながら、今まで生きてきた。ちなみに、この場面はDVDでも何度も見たし、このセリフが収録されている『男はつらいよ 寅さん発言集』のCDも購入。もちろん、この音源は僕のiPhoneにも入れている。それぐらい、大好きな場面の忘れられないセリフなのだ。

1/3ページ

最終更新:8/18(日) 11:00
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事