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「事業承継型スタートアップ」の一般化を阻む3つのハードル

8/18(日) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

現状の課題…乗り越えなければいけない3つのハードル

しかし、このスキームが一般的なものとなるには、いくつか乗り越えなければいけないハードルが存在します。そのうちの主要なものにつき以下に列挙してみました。

1.事業承継専門家にとってのキャッシュポイントが限定的

誤解を恐れずにいえば、通常、起業家は潤沢な資金を持っているわけではありません。老舗も似たようなシチュエーションの場合が多いでしょう(※6)。したがって、本来サポート役として期待される事業承継専門家にとって、このスキームは現時点においてはビジネスとしての魅力に欠ける、と考えてもなんら不思議ではありません。

※6 潤沢な資金を有している老舗であるならば、後継者難などの事業承継問題に陥る蓋然性は乏しいだろうという直感的な考えに基づくものです。

2.リスクマネーの提供先として相対的に魅力が乏しい

一般論としては起業家に対してリスクマネーが提供される環境は整備されてきています。例えば、生粋のスタートアップであるならば、シードマネー(※7)の調達は比較的容易な環境下にあります。しかしながら、事業承継型スタートアップの場合、金融機関や投資家からすると、老舗を継ぐことから短期的な高成長は難しいと見なされ、投融資の対象としての魅力が乏しいと評価(判断)される可能性があります。

※7 シードマネーとは、新たな事業を開始または起業準備のために必要な資金をいいます。

3.老舗もワカモノもなかなか次の一歩を踏み切れない

両者を取り持つマッチングイベントは段々増えてきていますが、ワカモノの斬新なアイデアを受けて、老舗とワカモノが具体的に本格的なステップへと辿るのはまだ限定的です。これは、資金の問題でしょうか? 価値観などのマインド面における世代間ギャップの問題でしょうか? それとも当事者の覚悟の問題でしょうか?

事業承継問題を抜本的に解決するソリューション

国内で事業承継問題が公になる契機となったのは「2004年版 中小企業白書」の「第3章 中小企業の世代交代と廃業を巡る問題」であったと記憶しています(※8)。

※8 あくまでも筆者が簡潔にWeb調査を行ったものに過ぎず、正確に確認をしたわけではありません。

そこからもはや15年程の歳月が経過しており、この問題は収まるどころか、大きな社会的課題となっています。

資産承継に効果的なやり方はさまざまに存在します。経営承継についても十分にノウハウが溜まってきています。

それでもなお、この問題が根強く残っているということは、モノゴトを多面的に見て、固定観念に囚われない違ったやり方を模索することが必要なのではないでしょうか。

だから、「事業承継型スタートアップ」は、事業承継問題の抜本的解決を促すソリューションとして考えてもらえるとうれしく思います。

筆者は、中小企業に重くのしかかっている事業承継問題を抜本的に解決するために、このような柔軟な姿勢で、先陣を切って果敢に挑んでいきたいと考えています。

読者の中から似たような思いを有する同士が現れることを心から期待しています。

久禮 義継

株式会社H2 オーケストレーターCEO/公認会計士久禮義継事務所 代表

久禮 義継

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最終更新:8/18(日) 13:00
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