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欧米と大違い?日本で「優秀な金融営業マン」が育たないワケ

8/18(日) 12:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

景気回復のため、大胆な金融緩和・中小企業への税制優遇が続く日本社会。企業オーナーにとっては良い面が多いかもしれませんが、その一方で、数多の銀行は厳しい財政に直面しています。結果、昨今の「過剰ノルマ問題」をはじめ、詐欺ともいえる手法で金融商品を販売する事態に陥っているのです。富裕層が資産を守るためには、信頼できる情報の取得が求められています。そこで本記事では、岸田康雄公認会計士/税理士が、金融機関の現状を解説します。

従来の金融営業マンは「利益第一主義」だったが…

これまで、金融機関のリテール営業担当者は、金融商品を回転売買させて手数料を稼ぐことに注力してきた。為替手数料を稼ぐための外国債券、元本を取り崩して毎月高い分配金を支払っているかのように見せる投資信託など、リテール営業担当者は、金融リテラシーの低いお客様に高い手数料を支払わせて、会社の利益を優先するような取引を行うことに邁進してきたはずである。

しかし、欧米のリテール金融マーケットを見ると、販売されている金融商品のほとんどは手数料率0%だ。信託報酬も0.1%である。その代わり、IFA(Independent Financial Advisor)やRIA(Registered Investment Advisor)など、運用助言に対する報酬や、預り資産に対する管理報酬によって稼ぐビジネスモデルが主流となっている。

日本もこのようなビジネスモデルに変質する可能性があるのではないか。日本においても、今後求められていくのは「お客様の利益を優先する資産コンサルタント」になるのではないか。

資産コンサルタントは、手数料率の高い金融商品、信託報酬の高い投資信託の販売を優先してはいけない。お客様の最適な資産管理と運用の方法をアドバイスすることに加え、家族の悩み、相続・資産承継に関わるお客様の問題点を探り出して、問題解決へと導くことが仕事である。このような役割は、高齢化が進む日本の富裕層のお客様にとって、たいへん重要な役割となるはずである。

そこで、誰が富裕層のための資産コンサルタントとなるか?という問題がある。

手数料率の高い金融商品、信託報酬の高い投資信託の販売だけに邁進してきた従来型のリテール営業担当者が、資産コンサルタントとなることは容易ではないだろう。彼らも会社のサラリーマンであり、上司からノルマを与えられているからだ。また、金融商品の「売り子さん」として、「売ってこい!」という号令のもと、電話をかけまくり、客先へ飛び込みまくりの営業で、販売だけに邁進してきたのであるから、富裕層のお客様の問題解決という難しい仕事など対応できるはずがない。

公益社団法人日本証券アナリスト協会の定義によれば、「プライベートバンカーとは、富裕層(マス富裕層を含む)のために、金融資産のみならず、事業再構築、事業承継を含めた生涯あるいは複数世代にわたる包括的・総合的な戦略をベースに投資政策書を立案し、その実行を助けるとともに長年にわたってモニタリングを続ける専門家のこと」とされている。

お客様から相談され、アドバイスする分野は、相続・贈与、事業承継、税務対策、内外不動産の取得・売却、金融・非金融資産の運用など多岐にわたることになるだろう。資産コンサルタントは、こうした分野についてはすべて習得しておく必要があるのだ。果たしてそれが可能だろうか。

具体的には以下のような役割になるだろう。

資産コンサルタントがお客様の資産管理を提案する際には、家族が達成したい目標、それを達成するにあたっての問題点、課題と解決策を明確化しなければならない。その検討内容としては、たとえば、家族構成、資金繰り、資産の分散、相続税など納税資金、資産運用・対策の提案ならびに期待される効果、最適資産配分の提案、ファミリー・ミッションの実現の可否、教育や医療の情報提供などである。

少々難しい仕事かもしれない。大手金融機関のリテール営業担当者にこのような役割を期待することは、無理があるかもしれない。

しかし、仮にこうした価値のあるサービスを提供することができれば、金融機関の営業担当者にとって、「売り子」よりもやりがいの大きな仕事になるはずだ。

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最終更新:8/18(日) 12:00
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