ここから本文です

競歩・鈴木雄介「コースの再考を」。来夏のマラソン、競歩はどうなる?

8/18(日) 11:41配信

Number Web

 今年の東京の夏は、梅雨明けが遅かったものの、その後は猛暑にさらされている。日々、この天候のもとにいると、来年の東京五輪に改めて不安が浮かんでくる。

 折しも、8月上旬に公開された合宿において、世界選手権競歩代表の鈴木雄介はこう語っていた。

 「できるなら、コースの再考を」

 鈴木は早朝の時間帯に、オリンピックのコースを試走したという。その経験を踏まえ、「脱水になっておかしくないし、選手、観客にも酷」だと感じたことから発した言葉だった。

 猛暑の中の大会ということで、どうしてもマラソンの方がクローズアップされがちだったが、競歩にとってもまた、大変な条件であることを裏付ける言葉だ。

「勝負に大きく影響すると思います」

 開始時刻を当初の予定から繰り上げるなどしたが、早い時間帯から高い気温と湿度になることを考えれば、厳しい状況でのレースになるのは想像に難くない。コースをひととおり下見した元選手もまた、そう実感したという。

 特に過酷な環境となりそうなのが、鈴木も厳しいと感じさせられた、陽射しをさえぎるもののない皇居付近だ。鈴木は言う。

 「勝負に大きく影響すると思います」

 同時に、コンディションにも響くと予想する。

 「身体にかなり厳しいですよね。そのあと、上り坂になっていきますから」

 さまざまな暑さ対策はとられようとしている。先に記したスタート時刻の変更もそうだし、「遮熱性舗装」という路面に赤外線を反射する遮熱性樹脂などを塗ることで道路の温度上昇を防ぐ措置も進められている。

過去のレースでは完走率が6割。

 ただ、路面から一定の高さになると、通常より気温や熱中症の危険度を示す暑さ指数(WBGT)が高くなるという研究結果を、東京農業大学の樫村修生教授の研究チームがまとめ、学会で発表する予定であることを朝日新聞の記事が伝えている。

 過去の事例では、1991年に東京で行われた世界選手権が1つのサンプルになるかもしれない。男子マラソンは午前6時にスタートを切ったが、スタート時の気温は26度、湿度73%。優勝したのは谷口浩美、そのタイムは当時の世界最高記録より8分以上遅い2時間14分57秒、完走率は6割にとどまった。

 そのときも環境の厳しさがレース前から指摘されていたが、今日の東京の暑さは、当時を上回るだろう。

 2007年、大阪で行われた世界選手権もまた、酷暑のもとで開催された。マラソンは男子、女子ともに午前7時スタート。ドライミストをコース上に設置するなど対策を凝らしたが、男子の完走率は7割を切り、優勝タイムはどちらも低調な数字にとどまった。

1/2ページ

最終更新:8/18(日) 11:41
Number Web

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sports Graphic Number

文藝春秋

986号
9月12日発売

本体630円+税

桜の出陣。
ラグビーW杯大特集 日本代表、ベスト4への道

【別冊付録】 出場20チーム完全選手名鑑

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事