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定年後の食費・娯楽費を2割削れば年間20万円、30年で600万円に

8/19(月) 15:00配信

マネーポストWEB

「長く働いて年金を繰り下げる」ことで、老後資金は増やせるが、それで安心とは限らない。実は“ゆとりある人ほど、老後生活で失敗しやすい”という現実もある。横浜市に住む73歳の男性が、肩を落としながらこう振り返る。

「子供が手を離れた50歳くらいから、毎年妻と2人で行く海外旅行が楽しみでした。60歳の定年後も、給料が減ったとはいえ再雇用されたし、『蓄えは多くなくても大丈夫だろう』とタカを括っていたのですが……昨年、妻が脳梗塞で倒れてしまった。体に残る麻痺を取り除く最新治療を受けさせてあげたいが、どうしても『蓄えが足りなくなるのでは』と頭をよぎる。定年を機に家計を見直すべきだったと後悔しています」

 一見、余裕のある家計が陥りがちな罠だ。年収1200万円以上の世帯の約10%が貯蓄ゼロというデータ(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」、2017年)があるが、収入が多くても支出が減らなければ、蓄えは増えない。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏がいう。

「収入があるからと貯蓄を疎かにする世帯は多く、定年後のちょっとしたトラブルで家計が破綻状態になりがちです。とりわけ、『食費』『趣味・娯楽』にお金をかけて失敗するケースが多い。

 金融庁の“2000万円不足報告書”でも、平均的な定年後夫婦の家計で食費が毎月約6万4000円、教養娯楽費が毎月約2万5000円と大きな割合を占めており、これだけで年間100万円超の出費になる計算です。現役時代と比べて外食や旅行などの回数を減らすダウンサイジングができるかがカギです。食費・娯楽費を2割削れば年間20万円、定年後の30年で600万円の違いが出ます」

 また、「自宅」も見直しの選択肢だ。転居して賃貸で暮らす資金がなくて、持ち家から出られない貧困高齢層が膨大に存在しているが、少しでも長く働いて収入を増やし、さらに支出を削って余裕資金ができれば、「住まいのダウンサイジング」も検討しやすい。

「郊外の一戸建てなど、子供が巣立った後に老夫婦で暮らすには広すぎる自宅は、老後も持ち続けているとイザという時に買い手のつかない“負動産”となるリスクもある。思い切って一戸建てを売り払い、都会の賃貸マンションに引っ越したほうが身軽です」(森田氏)

 持ち家に閉じ込められる「下級生活」に陥らないためにも、定年後は収入だけでなく支出をゼロベースで見直したい。

※週刊ポスト2019年8月16・23日号

最終更新:8/19(月) 15:00
マネーポストWEB

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