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社会人として働くことに健常者も障がい者もない これからの障がい者雇用とは

8/19(月) 7:31配信

日本の人事部

楽天グループの特例子会社である、楽天ソシオビジネス株式会社。同社は、設立時より積極的に障がい者採用を行い、高い雇用率と定着率を実現しています。また、特例子会社でありながら独立採算制を採用。長年にわたり、通年黒字を維持し続けています。なぜそのような経営が可能なのでしょうか。その秘密は“障がい者だから”という固定観念にとらわれない、当たり前の実践にありました。代表取締役社長の川島薫さんに、取り組みの経緯やポイントをうかがいました。

世の中の仕事に健常者と障がい者の区別はないはず

――川島さんは2019年6月に代表取締役社長に就任されました。どのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。

私は生まれつき股関節が悪く、小さな頃から激しい運動はできませんでした。しかし自分が障がい者であることを意識したことはほとんどありません。友達が何かを始めると一緒にやって、相手に負けると「悔しい!」と思うこともよくありました。

健常者と同様の環境で育ち、高校卒業後は一般企業で経理の仕事に就きました。出産を機に専業主婦になりますが、十数年後に社会復帰。空調メーカーのコールセンターで働きました。もともと仕事が大好きで、取りまとめも得意だったので、スーパーバイザーになって採用や新人育成も担当しました。しかし空調の図面を見ているうちに、製図に興味が湧いてきて、8年ほど勤めた後、CADの職業訓練校に入りました。

障がい者雇用という制度があることは、職業訓練校で初めて知りました。選択肢の一つとして、先生の紹介で障がい者向けの就職面接会に参加したところ、楽天ソシオビジネスと出会いました。立ち上がったばかりの組織で仕事内容も決まっていませんでしたが、みんなで会社をつくり上げる段階と聞いて面白そうだなと思い、入社を決めました。2008年の話です。

――楽天ソシオビジネスに入社して初めて、健常者と障がい者との“壁”を感じたそうですね。

入社後しばらくして、採用面接に同席するようになったのですが、そこで障がい者の方の覇気のなさを目の当たりにしたのです。転職面接では、積極的に自分をアピールするものですよね。しかし、多くの人は守りの姿勢だったんです。「この人、本当に採用されたいのだろうか……」と感じる場面が何度もありました。

職務経歴書を見ると、総務や人事などキャリアが華々しく書かれています。ところが話を聞いてみると、自分で考えたり、主体的に動いたりといった経験のない人がほとんどでした。

でも本人たちは、仕事にやりがいを求めている。そのせいか、障がいのある方は本当に転職が多いんです。そうした経緯から当社は、誰もがいきいきと活躍できる会社であることを念頭に運営しています。

――「社会人として働くことに健常者も障がい者もない」という姿勢は、そこから来ているのですね。

入社当初、経営層が「障がい者の“ため”の仕事とは」という議論をしていて、私は違和感を覚えました。世の中にある仕事には、健常者のため、障がい者のため、といった区別はありません。障がい者だからこれくらいでいいや、ということもないはずです。

障がい者に仕事を教えることは確かに、健常者と比べて大変です。時間をかけ、根気強く取り組まなければなりません。一方で、これまで経験がなかっただけということも大きいと感じています。特別視された故に、ビジネスマナーや基本的なスキルを教えられていない障がい者の方が、非常に多いのです。それなら、経験したことのある人が、初めての人に仕事を教えればいい。それは、どの会社でも行っている、先輩社員が新入社員をフォローすることと同じでしょう。

社内の雰囲気が変わったのは、グループ内のメールセンターと合併したときですね。健常者と障がい者が一緒になって働く形ができました。ちょうど楽天ソシオビジネスの社内も自分たちで仕事を獲ってこようというフェーズに入っていたこともあり、ムードが一変しました。

といっても、失敗が多かったのは事実です。親会社の各部署に「その仕事ならウチでやります」と言って仕事を獲ってきてはミスをし、怒られることの繰り返し。始末書も何枚書いたことか(笑)。

失敗はよくありませんが、誰にでも起こり得ることです。障がい者には繊細な人も多く、ミスの後にどう立ち直るかが課題でした。「負けて悔しくないの?」などと、よく発破をかけていましたね。障がいを持つ私だからこそ、言えたのですが。

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最終更新:8/19(月) 7:31
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