ここから本文です

歌舞伎俳優 中村七之助が未来へつなぐ、「納涼歌舞伎」の夢

8/19(月) 18:40配信

T JAPAN web

父・勘三郎から、次世代へ――「八月納涼歌舞伎」で女方屈指の大役に挑む心境を聞いた

 歌舞伎座の「八月納涼歌舞伎」は中村七之助さんにとって、思い入れの深い公演のひとつだ。「父(十八世中村勘三郎)や(十世坂東)三津五郎のおじさま、そして(中村)福助の叔父、(中村)芝翫の叔父が、お互いに協力しあいながら古典の大役や新作に挑戦している様子を間近で見て来ました。そして食事の席などで、もっと多くの方々に歌舞伎に興味をもっていただくにはどうしたらいいかを熱く語りあっていた姿が強く印象に残っています」

今回演じる女方、乳人政岡

 歌舞伎座に行けば毎月必ず歌舞伎が観られる。今となっては至極当然の事実が具現化したのは平成という時代が始まったばかりの1990年のことだった。前年までは貸館による公演が続いていた8月に、当時の若手を中心とした顔ぶれで公演を開催したところ大盛況となったのである。そのフレッシュな舞台は評判を呼び、毎年恒例の名物公演となっていくなかで歌舞伎ブーム到来とまで報道されるまでになった。中心となって牽引していた勘三郎さんと三津五郎さんは当時30代半ば。初回に子役として出演していた七之助さんは今、当時の勘三郎さんと同世代である。

 今年の「納涼歌舞伎」では第一部、二部、三部すべてに出演し、第一部で上演される『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』では乳人(めのと)政岡という女方の大役に初役で挑む。「この年齢で政岡をさせていただくとは思っていませんでした。本当にたいへんなお役だと実感しています」

 最初にそれを痛感したのはポスターのためのスチール撮影の時だった。兄の中村勘九郎さんが主演するNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』や、NHK・BSプレミアムドラマ『令和元年 怪談牡丹燈籠』への出演のため、七之助さんは映像の仕事が続いていた。そのため衣裳や鬘をつけて歌舞伎の扮装をするのは、じつに3カ月ぶりだったそうだ。「帯を締めただけでも苦しくて、役の扮装をして写真を撮るだけでくたくたでした」

 指導を仰いだのは人間国宝でもある名女方の坂東玉三郎さんだ。「玉三郎のおじさまは撮影の現場にも立ち合ってご指導くださって、その恰好のままお点前の稽古をしましょうということになりました。長い時間ではなかったのですが、帰宅したら動けないほど疲れ果てていました。精神的プレッシャーも含めて、政岡がそれだけ大役であるということなのだと思います」

1/3ページ

最終更新:8/19(月) 18:40
T JAPAN web

T JAPAN webの前後の記事

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事