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アメリカのエンタメ業界における“事務所問題”。

8/19(月) 17:11配信

VOGUE JAPAN

エージェントの年収は大物セレブに匹敵するほど高額。

エージェント業務に関して言えば映画部門、音楽部門、テレビ部門、イベント・広告部門etcと分かれているので、本業以外の仕事の場合、一人のタレントに対して複数のエージェントが担当する。ただしエージェント個人でも数人から数十人のタレントを担当し、年収も数千万円から10億円以上稼ぐエージェントもいるのが、アメリカらしいところ。つまりエージェントも各エージェンシーの社員であると同時に、給料は担当タレントの出演契約料によるから。そしてエージェントの中でも最もパワーがあるエージェントは、ギャラが莫大な映画担当だ。

ちなみにアマゾンのジェフ・ベソスCEOに離婚を決断させ、380億ドル(約4兆円)の財産分与が行われるに至ったW不倫相手の元ローカルTVのレポーターだったローレン・サンチェスの元夫はWMEの共同CEOであり、人気ドラマ「アントラージュ」のモデルとなったアリ・エマニュエルと並んでハリウッドで最もパワーのあるエージェントのパトリック・ホワイトセルだ。

彼はもともとは映画担当のエージェントだった。ヒュー・ジャックマン、ベン・アフレック、ジュード・ロウ、ライアン・レイノルズ、デンゼル・ワシントンといった過去に担当した映画スターの名をあげればきりがない。約30年前、まだ駆け出しの新人俳優だったマット・デイモンの演技に感銘したホワイトセルは、当時ハーバード大学の学生だったマットの住む学生寮の番号を電話帳で調べ、自ら電話をかけてエージェントにして欲しいと懇願したという逸話がある。

訴訟社会のアメリカならではのトラブルも。

またエージェントやマネージャーが、タレントと契約パートナー関係だけにトラブルが起こると裁判沙汰にもなる。ハリウッドではタレント並みに重要なのがエージェントで、そのエージェントの引き抜き・移籍というのが頻繁に起こり、これが大きなドラマを生み出すのだ。

2015年には大手エージェンシーCAAの敏腕エージェントで、お笑い担当の5人が自分のクライアントだったザック・ガリフィアナキスやウィル・フェレルらを引き連れてUTAに移籍し、CAAがUTAを告訴した。ようやく和解したのは4年後の今年2月だが、興味深いのはコメディドラマで頭角を現したクリス・プラットは、今回の移籍でエージェントとともにUTAに移籍したが、CAA時代はお笑い枠のタレントだったということ。

他に裁判沙汰といえば、ジョニー・デップの放蕩生活が赤裸々になった裁判も、長年のマネージャーとのコミッションをめぐる争いだったし、キム・カーダシアン・ファミリーは2009年からAPAとエージェンシー契約し、APAは数々の企業タイアップや広告をブッキングしてきたが、カーダシアン側からエージェンシー・コミッションが支払われていないと2016年に告訴、賠償金は数億円に上るとみられている。

またWGA(全米脚本家協会)は、エージェンシーが受け取っているパッケージ料が違法だとして今年4月に4大エージェンシーを告訴、その一週間後には全メンバー8800人のうち7000人が自分のエージェントを解雇すると通知した。パッケージ料というのは、エージェンシー・コミッションとは別にクライアント(制作側)からエージェンシーに支払われている料金。例えば、ある人気ドラマ1話につき75000ドルがパッケージ料としてエージェンシーに支払われているが、制作費がカットされてもこのパッケージ料は値下げしないと譲らないので、制作費を抑えられる脚本にするように制作側からリクエストがあり、脚本家のギャラにも影響を及ぼす可能性もあるし、何よりドラマの質を損ねてしまう、という訴えだ。

ちなみにテイラー・スウィフトの版権を巡ってバトルとなったジャスティン・ビーバーのマネージャーでもあるスクーター・ブラウンは、もともと大学時代にイベント・プロモーターをしていて、エミネムの地方公演のアフターパーティーを何度か任されたことで業界入りし、その後ジャスティンを発掘してマネージャーとして大成功を収めた。

今では彼のSBプロジェクト社はアリアナ・グランデ、デミ・ロバート、カーリー・レイ・ジェプセン、ブラック・アイド・ピーズ、DJのマーティン・ギャリックスやデヴィッド・ゲッタ、モデルのカーリー・クロスやアシュリー・グラハムら30人弱のタレントをマネージメントするまでに成長。彼自身がアメリカン・ドリームのような存在となった。Metooのきっかけにもなったセクハラ・スキャンダルで失脚したハーヴェイ・ウェインスタインは、ハリウッドで一二を争う敏腕映画プロデューサーだったが、彼もまたコンサート・プロモーター出身だ。

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最終更新:8/19(月) 20:40
VOGUE JAPAN

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