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日本で1つだけ「青春18きっぷで“船に乗れる”のはどこ?」 現地に行ってみた

8/19(月) 5:30配信

文春オンライン

始発は朝5時台、最終便は夜22時台

 宮島へのフェリーというと観光客の輸送ばかりに目がいくが、実際には宮島に暮らしている人や働いている人の通勤通学のための交通機関としての役割も持つ。そのため、宮島フェリーは始発が朝5時台、最終便は夜22時台と松大汽船と比べても運航時間帯が長い。観光客だけでなく地元の人の日常の足――そういう一面も、“連絡船らしさ”といえるのかもしれない。

 現在、宮島フェリーは日中15分間隔、多客期には10分間隔で運航されており、日中の宮島行きは嚴島神社の大鳥居の方に大きく迂回する“大鳥居便”として走る。

「船はみせん丸・みやじま丸・ななうら丸の3つ。通常は2船体制ですが、多客期には3船がフル稼働して走っています。大鳥居便は少し遠回りになるのですが、エンジンの回転数を調整しているので約10分の所要時間は変わりません。お客さまはみなさん弥山を背景にした厳島神社とその大鳥居を真正面から見たいですから、船が傾くというと大げさですが、それくらいみなさん鳥居のある右舷側に集まるんですよ。」(大田さん)

 ならば運航にはずいぶんたくさんの人手をかけているのかと思いきや、基本的には船長と機関長の2人体制。船長は操舵室から離れることができないため、乗船・下船の案内は機関長と桟橋業務を委託している関連会社・JR西日本広島メンテックの社員が担当しているのだとか。

「船長はずっと舵から手を離せないですよね。比較的波は静かなところなのですが、それでも潮や風の影響を受けますから、停泊中も舵から手が離せない。航行中もずっと舵を取っています。大型船では、ふつうは出入港時以外は船長が自分で舵をとることはなくて、操舵手に指示をするものなんです。ただ、ウチでは2名体制ですから船長自ら舵をとっています」(大田さん)

船長は1回の勤務で15往復

 もちろん安全への配慮は万全。とはいえ、船において一番危険が高まるのは出港・入港だと言われる。宮島フェリーでは出港から10分で入港するのだから、とうぜんその頻度は一般的な航路とはケタ違いに多くなる。船長は通常、休憩を挟みつつ1回の勤務で15往復ほど。

「船長として採用する人は基本的にすでに他の船に乗っていて資格を持った人に限っています。なので、船を扱うことに関してはみんな経験豊富なプロ。それでもこれだけ出入港が多い航路はなかなかないですからね。国際航路だったら入港態勢になるのは1航海で1回か2回くらい。それが10分ごとですから。オートパイロットに任せられる時間帯もせいぜい数分。しかし毎日多くのお客様を安全にお運びすることに、喜びとやりがいを感じるようになるんですよ。世界遺産の宮島観光を楽しみに遠方から来られるお客様を毎日お出迎えしているわけですからね。船に乗って頂く、乗って頂けるという気持ちと、フェリーからの眺めを愉しんで頂きたいという気持ちが芽生えてきます」(大田さん)

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最終更新:8/19(月) 5:30
文春オンライン

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