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医師の現状を見ても「年収1000万円超の高給取り」と羨めるか

8/19(月) 12:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

「高給取り」の代表、医師。求められる学力・資金力が一般水準より非常に高いため、その社会的地位も広く知られています。その一方で、医療業界には「悲惨」としかいえない現状があるのも事実です。

「年収1000万円超え」は夢があるといえるのか

「医師=金がある」という考えは、長らく流布してきた。

まず、医師になるまでに膨大な教育費がかかることは、「医師=金がある」というイメージを増長させる要因になっているといえるだろう。私立の医学部に進学した場合、6年間の学費は、2000万円弱~5000万円弱に及ぶ。加え、医学部は留年がごく当たり前に起こりうる世界だ。1年在学期間が増えるたびに、数百万の出費が当然のように発生する。高所得者の親を持たない限り、まず叶えられない職業といっていい。

そして、厚生省の発表によれば、医師の平均年収は約1400万円(病院勤務の場合)。医師の親を持つ子が医師になるのは、然るべき理由があるということだ。

「平成29年分 民間給与実態統計調査」において、日本人男性の平均年収は約530万円、女性約280万円と報告されている。それを踏まえれば、医師の「高給取りっぷり」に羨ましさを覚える人もいるかもしれない。しかしここで一歩立ち止まって考えなければならない事実がある。それは、なかなか可視化されない(あえてしない?)医師の長時間労働問題だ。

過労死ラインの「2倍」働くことを国が許した

今年1月、厚生省は医師の残業時間の上限を年1900時間~2000時間とする新制度の導入を提案した。

年2000時間の残業とは一体どういうことか。1ヵ月約166時間の残業であり、月20日働くと仮定すれば、1日の残業は8.3時間。毎日16時間以上働いていることになる。

忘れないでほしいのは、これは政府が新しく提案した残業時間の上限であるということだ。現状はもっと過酷であり、「せめて残業はこのくらいにしましょう」という時間が、年2000時間なのだ。筆者の聞いたところによると、「研修医は300日連勤」という話すらあった。将来の高給が約束されているとはいえ、その現状を耐えられるのだろうか。

ちなみに、一般的に「過労死ライン」と呼ばれている月80時間の残業は、20営業日、9~17時の一般的な会社で考えれば、9~21時の勤務ということになる。このことからも、医療業界の過酷さは見て取れる。

上記の制度は、地域医療に欠かせない病院に勤務する医師に限った話、とはされている。しかし、制度の「なあなあ化」を懸念する声もある。行政の想像する国民生活と実生活のかい離は、今に始まったことではないだろう。「制度を決めたところで……」という諦めの念は渦巻いてる。

「それでもたくさんお金が貰えるんだからいいじゃないか」。果たしてそうだろうか?

◆医師には相続にもリスクがある

ちなみに、少し専門的な話になるが、かつての医療法人には「出資持分」という株式会社の株式に相当する財産があった。出資持分の評価額が知らぬ間に跳ね上がり、膨大な相続税が課されてしまうのは、現に今医療界で起こっている事実だ。

しかし、平成19年度には出資持分ありの医療法人の設立が、「医療法人の非営利性が保たれない」として認められなくなった。では一体何が起こるのかというと、医療法人の解散時の残余財産は、「国や地方公共団体などに帰属してしまう」のだ。

勤務医時代に膨大に働き貯めたお金+融資で、ようやく自分のクリニックを開いたとしても、相続対策を万全にしなければ、これだけのリスクがある。「高給取り」と一言でいってしまえばおしまいだが、その背景には、これだけの事実が潜んでいる。

勉強詰めの大学時代に、社会人以降は仕事に忙殺される日々。彼らを支えているのは、「社会的大儀」か、「お金」か。どちらのために働いているにせよ、一般市民の我々にとって、欠かせない存在であることは間違いない。日本人の高齢化が進み、ますます医師の需要が高まっていくなか、社会的な認識を改める必要があるのではないか。

GGO編集部

最終更新:8/19(月) 12:00
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