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中国で加速する地域間連携強化の実態

8/19(月) 6:00配信

JBpress

■ 1.地域間連携強化の背景

 この1~2年、中国で地域間連携の強化が加速している。

 代表的な事例は、広東省を中心とする「香港・珠海・マカオ大湾区」(グレートベイエリア)、上海市を中心とする「長三角」、そして北京市を中心とする「京津冀」(北京天津河北省)の3つである。それに加えて、重慶と成都の間でも連携強化の動きが見られている。

 これらの地域はそれぞれが異なる特徴を持っているが、最近になって地域間連携の強化が促進されている背景として、以下のような共通の要因があると指摘されている。

 第1に、高速鉄道、高速道路など大規模交通インフラ整備の進展に伴い、都市間の移動の利便性が高まり、広域内の相互連携が緊密化したこと。

 第2に、経済発展の高度化とともに中核都市単独での発展の限界や矛盾が表面化し、その問題に対応するために周辺都市との連携強化の必要性が高まったこと。

 第3に、都市化の進展や高度な産業集積の形成とともに、新たに大規模産業を誘致することが困難になり、各地の産業構造の特性を生かした形での地域経済の発展を目指さざるを得なくなってきたこと。

 第4に、主要都市の環境基準がますます厳しくなる方向にあり、サービス産業中心の中核都市と製造業中心の周辺都市・地域との間で棲み分けが進んでいること。

 第5に、貧富の格差の縮小のためには広域経済圏の発展が望ましいこと。

 こうした要因が指摘されている。

■ 2.香港・珠海・マカオ大湾区(グレートベイエリア)

 香港・珠海・マカオ大湾区が本格的に動き出したのは2018年からである。それを象徴するのは2つの交通インフラの完成だった。

 1つは広州と香港を最短47分で結ぶ高速鉄道の開通(2018年9月23日)である。これが開通するまでは約2時間を要していたので、大幅な時間短縮が実現した。

 もう1つは「香港・珠海・マカオ大橋(港珠澳大橋)」の完成(2018年10月24日)である。

 これは珠海・香港・マカオを結ぶ全長55キロの世界最長の海上橋であり、以前は車で4時間を要した珠海-香港間が45分に短縮された。

 これらの交通インフラの完成により、広州・深圳を中心とする広東省と香港・マカオとの連携が一段と加速するのは言うまでもない。

 従来、この地域は「珠三角」(パールリバーデルタ)と呼ばれ、香港・マカオとは切り離された形で発展を遂げていた。

 当時は技術力、所得水準などあらゆる面で中国の経済発展レベルが低く、香港・マカオの経済的優位性とは大きな格差があった。

 しかし、2005年以降、中国の経済規模が急拡大し、所得水準も急上昇。香港経済も中国経済への依存度が急速に高まっていった。

 以前の広東省では香港を経由して輸出する加工貿易型の企業が多く、金融のサービスレベルも低かったため、貿易・金融両面で香港の相対的優位性は明らかだった。

 ところが、中国全体の経済発展とともに、香港を経由せず、中国から直接輸出する企業が増え、特に上海の金融・貿易両面における目覚ましい発展ぶりは香港の優位性を低下させた。

 また、最近は深圳、広州の金融機能も向上したほか、深圳におけるIT産業の興隆はシリコンバレーからも脅威とみなされる水準にまで達し、さらに香港のステータスが揺らぐこととなった。

 こうして香港側に焦りの気持ちが高まっていった。

 そうした中国、特に広東省と香港・マカオとの関係が構造的に変化したことを背景に、香港は、まだ優位性を保っている国際金融面での競争力を生かして、広東省との連携を強化し、協調発展の方向を目指そうとしている。

 これが香港・珠海・マカオ大湾区がスタートした背景である。

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最終更新:8/19(月) 6:00
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