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小説家引退宣言で話題騒然 百田尚樹が『夏の騎士』でデビュー13年にして初めて綴った「自分の原点」

8/19(月) 7:00配信

Book Bang

 百田尚樹氏が、約3年ぶり、15冊目の小説となる『夏の騎士』を刊行。「この作品を、私の最後の小説にしてもいいと思った」とまでツイートした最新小説について、込めた思いを語ってもらった。

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 五十歳で小説家としてデビューした私は、「十年は書く」ことを一つの目標にしていました。気づけばその十年も過ぎ、十三年。これまでいろいろな作品を書いてきましたが、ふと一度、自分の原点に立ち返ってみたいと思いました。

 作家の原点というのは様々だと思いますが、私にとっての原点は、自分がまだ物語や小説に目覚めたばかりの頃です。つまり、少年を主人公にした物語を書いてみようと思ったのです。同時にそれは、「同じテーマ、同じジャンルの本は二度と書かない」と決めた私が、まだ書いていないものの一つでもありました。

 十二歳の少年時代は、私にとって半世紀以上前のことですが、自分が実際に通ってきた道でもあります。その頃の、友情や恋、人生に対する思い――人生経験は少なくても、社会や生き方について様々に考えることがあったと記憶しています――それを、もう一度自分の中で取り戻しながら書くことは、一種の挑戦でもあり、楽しみでもありました。

 面白いことに、書きながら、これまでの他の作品を書いているときとはまったく違う気持ちになれました。何度も少年時代を思い返して新鮮な感情を味わいましたし、今の自分はどんなふうにできたんだろうと考えたりもしました。いつもなら、架空のキャラクターを造形し、ここで彼ならどう喋るだろう、どう反応をするだろうと想像していくわけですが、今回は、五十年前の自分ならどうしただろう、と過去の自分に問いかけるような楽しみもありました。

 もっとも最初からスムーズに進んだわけではありません。原型となるプロットを思いついたのは七、八年前ですが、そのときは少し書いてみて、すぐ匙を投げてしまいました。

 これまで、整形手術をした女性の話や、江戸時代の碁打ちの話、ゼロ戦のパイロットの話など、いろんな主人公を書いてきましたが、ある意味で、子どもが主人公というのは一番難しかった。それで長年棚上げしていたのです。ただ、機が熟したというのでしょうか、今なら書けるかもしれないと思ってからは、一気に仕上げられました。

 子どもの目は、すべてを同縮尺には見られません。大人にはカメラのようにくっきり見えるものでも、子どもの目を通すと、あるものは実物より美しく、あるものはより大きく、あるものはより恐ろしく見えます。この小説に出てくる三人の少年も、それを経験していきます。

 三人はそれぞれ足りない部分があります。それを認め合い、補い合いながら、支え合って生きていきます。書きながら、私も彼らの仲間に入りたいと思ったくらいでした。

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最終更新:8/19(月) 18:16
Book Bang

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