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世界の巨大淡水生物、40年間で約9割も減っていた 研究

8/20(火) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

30kg以上になる淡水動物126種の個体数を調査、巨大淡水魚はなんと94%減

 大相撲の力士並みに大きなエイや巨大ナマズ、巨大ガメに、巨大サンショウウオ。最新の研究によると、世界の淡水に暮らすこのような巨大生物の多くは、まもなく絶滅してしまうかもしれない。

ギャラリー:世界の巨大淡水生物、40年間で約9割も減っていた 写真14点

 魚類、爬虫類から両生類、哺乳類まで、淡水の大型動物が世界的にどのぐらい減っているかを研究者らが調べた結果が、8月8日付けの学術誌「Global Change Biology」に発表された。世界的な減少を初めて数値化したというその内容は、非常に厳しいものだった。1970年以降のおよそ40年間で、体重30キロ以上の「淡水の巨人たち」の個体数は、世界中で90%近く減少した。これは、陸上または海の脊椎動物の2倍近い数字だ。

 チョウザメ、サケ、大ナマズなどの巨大淡水魚は特に絶滅の恐れが高く、個体数は全体で94%も減少した。淡水の大型爬虫類と哺乳類の多くも、厳しい状況におかれている。中国のヨウスコウカワイルカは、おそらく人間によって絶滅に追い込まれた最初のイルカだ。体長6メートルを超えることもあるシナヘラチョウザメは、ここ10年ほど目撃されていない。ほかにも、ほとんどいなくなってしまった種がいるかもしれない。

「こうした大規模な危機は、一般にはあまり認識されていません」と話すのは、米ネバダ大学リノ校の魚類生物学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるゼブ・ホーガン氏だ。同氏は、巨大淡水魚の窮状を20年にわたって研究している。

 論文の著者の1人でもあるホーガン氏は、巨大魚たちが苦境にあるというこの報告は、世界中の川や湖が直面している環境の危機をはっきり示していると語る。「最も大きな動物たちが姿を消し始めるのは、すぐさま何らかの行動を起こし、川や湖の生態系の健全さを取り戻さなくてはならないという警告です」

脊椎動物種の3分の1、魚種の半分が生息

 淡水生態系には、世界の脊椎動物種の3分の1、そして魚種の半分近くが生息している。にも関わらず、海の生態系に比べると概して研究が進んでいない。地上と海の大型動物が減っていることは十分確認されているが、大型の淡水種を地球規模で調べた研究はこれまでほとんどなかった。

 今回、研究チームは、体重30キロ以上になる淡水種207種のうち126種について、1970年から2012年までの個体数のデータを集めた。そのなかには、英ロンドン動物学協会(ZSL)が世界自然保護基金(WWF)と協力して運営するデータベース「リビング・プラネット・インデックス」も含まれている。このデータベースによれば、調査対象期間とほぼ同じ期間で、全淡水種の数は83%減ったとされているが、大型動物では88%と減少幅がさらに大きいことが今回の研究で明らかになった。

 論文の筆頭著者で、ドイツ、ベルリンにあるライプニッツ淡水生態学・内水漁業研究所(IGB)の淡水生態学者フー・ファンジー氏は、淡水の生物多様性の危機は一般にあまり気づかれておらず、巨大な生物がいることすら知らない人が多いと話す。「トラ、パンダ、ライオン、あるいはクジラなど、メディアや学校教育で大きく注目される種とは違います」

 大型の淡水種が直面する最も大きな脅威は、乱獲と生息環境の悪化だとフー氏は指摘する。大型の淡水種の多くは、肉や皮、卵を目当てに捕らえられる。回遊する大型の魚は、ダムによってルートがふさがれ、産卵場所へたどり着くのが難しくなると大きな打撃を受ける。また、成熟するのに時間がかかり、繁殖率が低い傾向にあることも、大型動物が苦境に弱い一因だ。

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