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「育てて売る」名人去り…ローマの経営モデル刷新はまたも「書き直し」に

8/20(火) 12:12配信

footballista

18-19 Playback For The Coming Season#7

続々と開幕を迎えている欧州各国リーグ 。プレシーズンマッチを重ねチーム作りを進めている各クラブは、順調に歩みを進められているのか。その進捗を測るうえでは、昨シーズンのチームが抱えていた課題を正確に把握しておくことが欠かせない。

この昨シーズンの振り返り記事で課題を再確認することで、来たる19-20シーズンに向けた準備は的を射ているのか、的外れになってしまってはいないか、判断する手がかりにしてほしい。

ROMA | ローマ

文 神尾光臣


 バルセロナを破ってCL4強に勝ち進んだチームが、その立役者をあっさりと放出しサポーターから怒りを買う。決勝ラウンド1回戦でポルトに敗退、リーグ戦では勝ち点を伸ばせず、CL出場権獲得も難しい状態に陥った。2017-18に絶賛されたエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督は途中解任。ロマニスタたちのデモ行動は1年を通して続き、主将ダニエレ・デ・ロッシの退団が発表されてさらなる反感も煽られた。最初から最後まで、ローマは苛烈な“叩き”にさらされた1年だった。

 冷静に見れば、2017-18シーズンの成績が出来過ぎだったという見方もできる。チームは若手中心に切り替え、他のメガクラブに主力が高額で引き抜かれてしまう状態は同じ。2018-19シーズンもそれほど変わってはいないはずだった。モンチSDの下で優秀な若手をプレミア勢との競合に勝って獲得し、特にインテルから引き抜いたニコロ・ザニオーロなど今後のクラブを、いやイタリア代表をも背負って立つ逸材まで現れた。

 「勝利は合理性の下で目指さなければならない。ローマを経営難に陥れることなく、長年にわたり強いチームに作り上げること、それが私の目標だ」

 モンチは若手発掘路線の意図をそう説明しており、クラブ経営の面ではスペイン人SDの行動は筋が通っていた。

 ただ、目先のシーズンを戦い抜くために獲得された即戦力たちは期待値を下回る。本来はトップ下であるハビエル・パストーレはディ・フランチェスコ監督の敷くシステムの中では非常にはまりづらく、スティーブン・エンゾンジもチームに安定感を与えたとは言いがたい。何よりGKだ。ロシアW杯での活躍の余勢を駆ってロビン・オルセンを連れてきたまでは良かったが、シーズンに入ってみると難しいセーブと凡ミスをたびたび繰り返してしまう。終盤にはとうとう第2GKのアントニオ・ミランテにポジションを奪われる始末だった。

 結果に厳しいイタリアのサッカーでは、勝利へのコミットが強く求められる。若手中心のチームですぐに結果を出せないのは世の常だが、だからといってファンが忍耐を持ってくれるとは限らない。2017-18が出来過ぎたことへの反動が厳しい批判となって降り注ぎ、プロジェクトの続行を不可能にした。

 モンチは2019年3月に退団。その一方でジェームズ・パロッタ会長の指南役として知られるフランコ・バルディーニがSDの職に力を伸張していくという噂もある。なかなか着工に至らないスタジアム問題にも悩まされながら、ローマはまた計画書の書き直しを迫られることになった。

最終更新:8/20(火) 12:12
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