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香港騒動でトランプは英雄になる

8/20(火) 6:15配信

JBpress

■ 「第2の天安門事件」にはならない

 香港での「逃亡犯条例」の改正案をきっかけに燃え上がった香港市民の抗議デモは留まるところを知らない。

 これに対して、中国軍の指揮下にある武装警察が香港と隣接する中国広東省深圳の競技場に集結し、デモがさらに激化すれば出動する構えを見せている。

 一方、市民団体は香港政府に対し、逃亡犯条例改正の完全撤回、逮捕者の無罪放免、普通選挙の実施など「5大要求」を掲げて徹底抗戦の構えだ。

 週末には市民団体は各地で大規模なデモ行進を敢行した。24、25両日には新界地区でもデモが予定されている。まさに一触即発の事態を迎えている。

 もし中国軍が武力抑圧に出れば、1989年6月4日の天安門事件*1
の再来もありうる。 米国は世界でも名だたる「人権重視国家」。たとえ内政干渉と言われようとも他国の人権抑圧政策には口を出してきた。

 それが米国建国のバックボーンになっているからだ(たとえ建て前であろうともその辺が日本などとは異なる)。

 中国で大勢の市民が虐殺されれば真っ先に立ち上がるのは米国だ。また世界はそれを期待している。

 今回の香港デモでも何人かが星条旗を掲げているのもそうした期待度があるからだ。

 「第2の天安門」事件となれば、米国は動かざるを得ない。それでなくとも貿易を巡って緊張感が高まっている米中関係に新たな火種となることは必至だ。

 *1=2017年に公開された英国外交文書によると、天安門事件で殺害された市民は少なくとも1万人とされる。当時の駐中国英国大使が中国国務院委員からの情報として本国政府に報告した極秘公電で明らかにされている。

■ 狭い香港で大規模な武力行動は無理

 ところが、まずそうした状況にはならないだろうと楽観視しているのは香港の事情に精通する米国人ジャーナリスト、ワシントン・ポストのマーク・セッセン記者だ。

 「中国の軍隊が香港に侵入し、香港市民の抗議デモを鎮圧するのはかなり難しいのではないのか。軍隊を出動させても抗議デモを天安門の時のように鎮圧できないからだ」

 その理由を3つ挙げている。

 1つは、香港の地形だ。香港島、九龍半島、新界と235余の島からなるが、山地が全体に広がり、平地は少ない。香港島北部の住宅地と九龍半島に人口が集中している。

 市街は曲がりくねった狭い迷路だらけ。それに坂が多い。重装備の戦車や装甲車が活動するには極めて不適切だ。

 2つ目は、今回の抗議デモには指導者がいないし、1か所を叩いてもすぐほかの場所で抗議デモが始まる。モグラ叩きのようなものだ。

 現在は6月に200万人デモを行った民主派団体「民間人権陣線」が抗議活動の指揮を執っているようだが、市民は自然発生的に広がっている。

 3つ目は1989年の天安門事件の当時にはなかったSNSをはじめとするインターネットの普及だ。市民間のコミュニケーションの手段になっているだけでなく、中国軍の一挙手一投足が動画で世界中に流れる。

 中国政府の全く統制の取れない状況下で中国軍対香港市民の武力衝突→多数の死傷者といった事態が同時多発的に全世界に流れる。

 それが習近平国家主席と中国共産党にとってどんな意味を持つか。知らぬはずがない。

 (https://www.washingtonpost.com/opinions/2019/08/15/china-does-not-have-upper-hand-hong-kong-trump-does/)

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最終更新:8/20(火) 10:20
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