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ついに小学生年代で球数制限。 野球界の未来が変わる分岐点となるか

8/20(火) 6:57配信

webスポルティーバ

昨今、大船渡高校・佐々木朗希の「故障を防ぐため」の登板回避や、アメリカで導入されている投球制限ガイドライン「ピッチスマート」など、投手の投げすぎや夏場の連投にさまざまな意見が飛び交い、大きな注目が集まっている。

佐々木朗希の「球数問題」に直面する大船渡・國保監督の判断基準は?

 この動きに敏感に反応し、全国規模で対策を講じた団体がある。それが全日本軟式野球連盟で、小学生年代約12,000チームが加盟する国内最大規模の野球組織だ。今夏、その連盟が主催する全国大会「マクドナルド・トーナメント」で、球数制限が導入された。1日の球数を70球に制限するとともに、8月18日の開会式後には、出場全選手約1,000人の肘と肩の検診も行なった。問題が見つかった選手には医療機関での受診も促している。

 この導入については、慎重な議論が重ねられてきた。ワールドベースボールクラシックも、オリンピックも、プロ野球も、そのほとんどが優勝を最終目標にしている。大人の世界では、勝利至上主義が大前提として受け入れられているのだ。

 小学生レベルの大会であっても、1試合でも多く勝ち、優勝を目指すのは当然のこととして考えられている。優れたピッチャーが力の限り投げ続け、相手を抑える。それが勝利の大きな要因の一つになっている。球数制限は、それを根底から覆すことになりかねない。全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事はこう語る。

「プロ野球や高校野球と違って、学童野球(小学生年代の野球)の監督さんの多くがボランティアでやっているんです。善意の中でやっていて、自分の指導論があるわけです。勝利のために良かれと思ってやってきた指導を、いきなり変えるというのは簡単なことではありません。ただ、勝つことも大事ですが、それだけでは選手がケガをしてしまいます。

 我々は、過去5年間の(マクドナルド・トーナメント全国大会の投球数、登板数などのあらゆる)データをまとめ、さらに昨年11月に3年間かけて追跡調査した資料が出そろいました。それを見て、(球数制限を)反対されても決断しなくてはいけないなと思いました」

 全日本軟式野球連盟は、専門家の意見を聞きながら、医師による追跡調査を実施した。複数年にわたり、小学生球児の健康状態をチェックすると、驚くべき事実が浮かび上がってきた。2018年に開催された第10回U12アジア選手権大会の日本代表15名のうち、10名が肘や肩に障害の症状があった。

 また、17年に徳島県で開催された地方大会では、41.2パーセントの投手が肘や肩の痛みを訴えていた。徳島ではこの結果を受け、翌18年、投球数を70球に減らしたところ、肘や肩の痛みを訴えた選手が32.3パーセントに減少した。その他、80~100球で投手は疲労を感じ、約40パーセントの選手が過去に故障を経験していたというデータもあった。

 これらの結果を総合的に判断し、1日の投球数に上限を設けた。宗像氏はこう続ける。

「専門家の中には1日50球という意見もあります。ただ50球に制限してしまうと、1試合で最低でも3人のピッチャーを作らなければならない。指導者にとってすぐにピッチャーを複数人作るというのは大変なことなんです」

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最終更新:8/20(火) 6:57
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