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デブリーフィング:米空軍に学ぶ ナレッジマネジメント法

8/21(水) 8:51配信

DIGIDAY[日本版]

本記事は、FICC代表取締役社長を務める、荻野英希氏による寄稿コラムとなります。

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デブリーフィング:米空軍に学ぶ ナレッジマネジメント法

新しい知識の獲得は、能力の開発と組織の成長を担保する唯一の方法です。ナレッジマネジメントはあらゆる組織にとって、市場環境の急速な変化に適応し、競争力を維持するために欠かせません。いまや、チームや地域を超えて、情報を素早く共有することは決して難しいことではありません。現代の組織はその大きさや複雑さに関わらず、テクノロジーを活用することで、効果的なナレッジマネジメントを実現することができるはずです。しかし、その簡便性により、多くの組織では情報の共有だけが目的と化しています。個人の経験に基づく知識を組織的に学習する仕組みがなければ、むやみに共有される膨大な情報量に圧倒され、ほんの一部だけの活用可能な知識のために、貴重な資源を消耗させてしまうのです。

ナレッジマネジメントの目的は、決して情報共有ではなく、学習を通じた組織力の強化です。この誤解こそが、いまだにナレッジマネジメントから成果を得られない組織が多く存在する理由です。人の学習なくして、テクノロジーが組織の成長の答えとなることはありません。そのためには、能力の強化に必要な知識の種類と、その知識を個人から他者へと移転させる方法を理解する必要があります。

多くの組織がナレッジマネジメントから成果を得られないもうひとつの理由は、標準化された業務プロセスやワークフローを持っていないことです。共有された知識を組織的に活用するためのプラットフォームがなければ、プロジェクトごとに結果は異なり、同じ間違いが繰り返されてしまいます。多くの専門家との協働を要する現代のマーケティング組織が成果をあげるためには、パーセプションフロー・モデルのように、業務の標準化を可能にするプラットフォームが必要なのです。

優れた組織はどのようにナレッジマネジメントを実施しているのでしょうか? その理解のために、私はまずSECIモデルで有名な野中郁次郎氏の著書、『失敗の本質』を読むことを勧められました。この本では、第二次世界大戦の初期において日本軍が米軍を圧倒したにもかかわらず、組織力の低さによって敗北した様子が解説されています。

野中郁次郎氏の著書『失敗の本質』

日本軍とは対象的に、米軍は自らの過ちから素早く学び、迅速に状況への適応をしました。ビジネスでも必要とされるこの機敏さと規律が戦争の勝敗を分けた原因になったのはもちろんですが、米軍、特に米空軍が世界でもっとも効果的な学習型組織へと進化することにもつながります。彼らがリスクの高いミッションを毎日失敗なく実行できる理由は、決して個人の超人的な能力ではなく、徹底したナレッジマネジメントによる組織力です。

現代のビジネス組織の大半がいまだにできないことを、数十年前の米空軍はどのようにして成し遂げたのでしょうか? 彼らはナレッジマネジメントと実際の業務を区別せず、学習を作戦行動のなかに組み込んでいたのです。米空軍でデブリーフィングと呼ばれる結果報告は、同じ過ちが二度と繰り返されないことを確実にする、作戦行動の不可欠な一部です。デブリーフィングは、組織が効率的かつ効果的に学習する仕組みであり、いかなるビジネス組織にも適応することができます。元空軍職員によるビジネスコンサルティング会社アフターバーナー(Afterburner)は、この仕組みをS.T.E.A.L.T.H.デブリーフというフレームワークにまとめています。個人の見解も一部加えますが、今回はこのフレームワークをもとに、学習型組織のナレッジマネジメント手法を学んでみましょう。

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最終更新:8/21(水) 8:51
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