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樹木希林の遺作・映画『命みじかし恋せよ乙女』監督インタビュー─国粋主義や「男らしさ」の亡霊にドイツも日本も悩まされている

8/21(水) 19:00配信

クーリエ・ジャポン

現在公開中の映画『命みじかし、恋せよ乙女』。樹木希林の遺作にして世界デビュー作であることも話題になっているが、国や文化、生きる者と死者、女と男といった区別を超えていくものとはなにかという普遍的なテーマを、パーソナルに、叙情的に描いている。

日本に30回以上滞在しているドーリス・デリエ監督が再来日の折、本作について聞いた──。

「オリエンタリズム」とは違うのか

──ドイツの白人男性と日本人女性を核に物語が進んでいきますが、それは古典的な「オリエンタリズム」では? そうでないとすればどう違うのでしょう?

日本にまつわる映画を作るたびに、当然そういうことをおっしゃる方はいます。

ヨーロッパ人が日本に来て自分探しをする──というステレオタイプ的なある種の「夢想」があります。本作ではそれをいじって、ちょっと違ったことをしたのではないかと思っています。

ドーリス・デリエ監督Photo: Yuki Fukaya / COURRiER Japon
双方向で物語が進んでいきます。ヨーロッパ人が日本に来るだけではなくて、日本人のユウがドイツに行き、そこでドイツ人のカールが死者たちとつながりを持てるようにしてくれる。

ですから、「西洋人が日本で救いを見つける」という物語を、違った角度から語りなおしています。

入月絢演じるユウとゴロ・オイラー演じるカール©2019 OLGA FILM GMBH, ROLIZE GMBH & CO. KG
樹木希林さんも、そこにオリエンタリズムを感じてしまったらお受けにならなかったと思います。

そもそも、私はオリエンタリズムという言葉自体が人種差別的な言葉だと思うんです。私たちを分け隔てているものよりも、つなげてくれる、お互いにコミュニケートできるもののほうにより関心があります──生きる者と死者の世界、ヨーロッパとアジア、男性と女性、そういう二分された世界をつなげるものに。

茅ヶ崎の「浜降祭」©2019 OLGA FILM GMBH, ROLIZE GMBH & CO. KG

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最終更新:8/30(金) 10:23
クーリエ・ジャポン

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