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データ活用できない企業はあと10~15年で消滅!? 人事データ活用で生産性を向上させる鍵とは

8/21(水) 7:31配信

日本の人事部

最近では、人事の分野においてもさまざまなデータの分析・活用が意思決定の精度を向上させると期待されています。今すぐにでもデータドリブンな組織を作りたい、と考えている企業も少なくないでしょう。しかし、実際に何から手をつければいいのかわからない、社内に統計学やデータ分析の知識・技術のある人材がいない、といった課題の前で立ち止まっているケースも多いはずです。今回は、統計学のスペシャリストであり、シリーズ累計50万部を突破した『統計学が最強の学問である』の著者である、株式会社データビークル代表取締役最高製品責任者の西内啓さんに、人事領域でのデータ分析・活用に取り組む際に欠かせないポイントを詳しくうかがいました。

西内 啓さん

統計家/株式会社データビークル 代表取締役 最高製品責任者 
にしうち・ひろむ/1981年生まれ。東京大学助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長等を経て現在多くの企業のデータ分析および分析人材の育成に携わる。 『統計学が最強の学問である』シリーズなど著書多数。2017年第10回日本統計学会出版賞を受賞。

人事データの分析・活用で生産性を向上させる

――西内さんは統計学の専門家としての知見をビジネスに生かす取り組みを続けていらっしゃいます。学術とビジネスの両方を知る立場から見て、現在の日本企業のデータ活用はどの程度進んでいるとお考えでしょうか。

世界的なITリサーチ会社であるガートナーが、今後はデータ分析の面倒な部分の自動化が進み、専門家以外でもデータ活用ができる時代が来るだろうと予測しています。「市民データサイエンス」、あるいは「拡張アナリティクス」といわれる概念です。当社(株式会社データビークル)が開発・販売しているデータ分析の自動化ツールも、人事、マーケティング、物流などさまざまな領域で導入事例を増やしているところです。

しかし、日本企業で実際にどうデータが使われているのかを細かく見ていくと、その多くはまだ「現状把握」を目的としている段階のようです。本当はデータの分析結果をもとにビジネスをよりもうかる方向に変える、データの因果関係を洞察して新しい企画を立案する、といったことがより大切なのですが、そこまでできている企業はまだ少ないと感じています。

――データ分析がビジネスに十分に生かされていない要因は何なのでしょうか。

一つは、データ活用を行う組織、とりわけその責任者のポジションにある人材に統計学の素養が十分にないこと。ほとんどの人がグラフを読むことができ、平均値の出し方を理解している点は、日本人の基礎的な統計リテラシーが徹底しているという点で評価してもよいでしょう。しかし、大企業のリーダーという立場でもそのレベルで止まっていて、悪い意味で格差がないのが実状です。そのため、せっかくデータを集めても、それをしっかりと分析してビジネスを変革していくチャンスとして生かせていません。統計学の知識があれば、やりがいを持って取り組むことのできる面白い部分ですから、非常にもったいないように思います。

――日本企業のデータ活用には課題があるということでしょうか。今後は、人事領域でもデータ活用を進めたいと考える企業がますます増えてくると思います。データ活用が特に必要・有用なのは、人事の中でもどういった分野だとお考えでしょうか。

二つの可能性があると思います。一つ目は「優秀な人材を採用する」「優秀な人材に離職されないようにする」ためのデータ活用です。ITのような仕事では優秀な人材とダメな人材との生産性の差は、10倍もあるという研究もあります。そこまでではなくても、管理職や専門的な知識や技術を必要とする仕事では、平均的な人材と優秀な人材とで1.5倍も生産性が異なるそうです。こうした優秀な側の人材を高確率で採用し、辞めずに働いてもらっている企業があれば、その会社は間違いなく成長するでしょう。

二つ目は「今いる人材のパフォーマンス向上」です。企業は、現在働いている社員のさまざまなデータを持っているはずです。そのデータを分析して、上げていきたいパフォーマンスに最も関係している項目を割り出せれば、それを具体的な人事施策に落とし込み、パフォーマンスやモチベーションアップにつなげることができます。

ただ、先ほども申し上げたように、日本を代表するような大企業でもデータを見て終わり、というケースがまだまだ多いようです。せっかくグローバルの従業員のパフォーマンスやエンゲージメント、さらには関連する多くの項目のデータを集めているのに、きちんとデータ分析をしないため、どれが一番重要なデータかがわからない。そうなると、本当に効果的な施策を実行することは不可能です。

たとえば、データをきちんと分析すれば、「現時点で給与に対する満足度とパフォーマンスは関係がない」と読み取れるはずなのに、従来通りの経験と勘でわざわざ「給与制度を改定しなければ」と頑張っている。そういう事例も少なからず目にします。データ活用によって生産性を向上させるには、そこからもう一段階踏み込むことが必要なのです。

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最終更新:8/21(水) 7:31
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