気象業務法によって一般の人向けの台風の進路予報や警報・注意報の発表は、気象庁以外の者がやってはいけないことになっています。従って台風の予報は気象庁の台風情報が基本となります。台風が発生していない時には何も表示されませんが、24時間以内に台風となる熱帯低気圧が発生した時に、その熱帯低気圧が表示されるようになります。
台風になってからは5日先までの進路予報が出ます。台風10号(クローサ)は8月7日の15時に発生しました。台風の大きさと強さは、それぞれ強風域(風速15m/s以上)の大きさと中心付近の最大風速によって決められています。
発生した時点では台風10号は「大型」で「並み」の台風、そして24時間以内に「強い」台風になる予報でした。黄色の円は風速15m/s以上の強風域で、台風が風速25m/s以上の暴風域を伴うと強風域の内側に赤い円で表示されますが、発生した時には台風10号には暴風域はありませんでした。
台風から日本に向かって5つの円が白い点線で書かれていますが、台風に近い方から24、48、72、96、120時間後の予報円です。各予報時間に台風の中心が予報円の中に入る確率は70%です。先の予報になるほど予報円の大きさが大きくなる理由は、台風の中心位置の予想が不確実になるためであって、決して台風が大きくなるわけではありません。そして、この時点では台風はどこに上陸するか分かりません。
台風10号が発生した時の進路予報で注目してほしいのは、赤色の実線で示された暴風警戒域です。この中に入ると、台風の暴風域に入る可能性があることを示しています。この時点(12日15時)で、すでに紀伊半島、静岡県沿岸部、伊豆半島などが暴風警戒域に入っています。
もう一つの注目点は大型の台風であるがために、強風域が非常に広いことです。このまま日本付近に強風域が移動したら、東北から紀伊半島までがすっぽりと入ってしまう大きさです。強風域の風速15m/sは真っ直ぐ歩けない強風であり、25m/sは吹き飛ばされるほどの暴風です。このため、強風域であっても登山などの屋外の行動は控えるべきと思います。
実はこの後、8月12日の15時には台風10号は「超大型」になっています。図の通り、進路予報を見ると、予報円の大きさが小さくなっていることが分かります。台風の進路予報が確実になってきたためです。
8月15日の6時の進路予報では更に予報円が小さくなって、台風の大きさは超大型から大型に変わっています。この時点になると進路はほぼ確定で、四国西部または山口県から広島県に上陸しそうだということが読み取れます。そして、8月15日は中部山岳も強風域に入ることも分かります。結果は冒頭に書きましたように中部山岳は大荒れの天気でした。
今回の台風では大きな山岳遭難事故がなく良かったと思います。ただし、台風10号の接近にもかかわらず大分県玖珠町の大谷渓谷でキャンプをしていて18人が孤立する事態が発生したことは非常に残念です。幸い救出されたものの、一歩間違えると大惨事となりますし、救出に向かった消防や警察の方も命の危険を冒すことになるからです。日頃から気象情報を自ら取りに行って、事故に遭わないようにしましょう。
最終更新:8/21(水) 14:55
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